NCIS: ニューオーリンズ (S5E1)

天使のささやき / See You Soon

何者かに撃たれて倒れたプライド。犯人はバーロウの殺し屋、アメリア・パーソンズだった。ラサールはアメリアを追うが、あと一歩のところで取り逃がす。ラサールの弾を受けて負傷したアメリアはそう遠くへは逃げられない。アメリアから3発の銃弾をくらい、昏睡状態に陥ったプライドに代わり、ラサールが指揮を執る。(スーパー!ドラマTVサイトより引用)

 
キングが撃たれるというクリフハンガーで終了した前シーズン。 といっても日本は1年遅れの放送、本国では既にS6を放送中なのでまあ死ぬことはないんだろうなぁと。本国放送時は「まさかのキング殉職?!」とかなり心配でしたが。実際、結論が想像ついていながらもかなり緊迫する場面もありました。

 

撃たれた現場はキングのバーTruToneの2階。前シーズン終盤で遂にオフィスでの寝泊りを辞めてここに居を構えようかというところでした。ラサールが救急車を呼ぶ時に電話で住所(1431 Royal St)を伝えてましたが、これは本物です。がっつり晒しています。

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ここ、実際にはR Barというバーなんですが、私が初めてここのバーを訪ねた時に他の観光客らしき方が「R Barってどこ?」と道行く人に尋ねていたし、結構知りたいと思ってる人がいるのかもしれません。今年の春にはお店の入り口にも「ここがあのNCISのバーだよ!」という看板も出しており、基本的にファンの訪問はウェルカムなのでしょう。なので是非、ニューオリンズに行く機会があれば訪れてみてください。観光の中心地であるフレンチクオーターからも徒歩圏内、NOLAチームのオフィスのロケ地からも徒歩10分くらいです。

 

で、ラサールが犯人のアメリアを追って撃ち合いになった場所はFrenchmen St。ライブバーが立ち並ぶ通りで、エヴァが隠れ家にしていたBamboula'sや、S4E13の舞台となったバーDelilah's(実際はdba)などがあります。毎晩あちこちのバーでライブがあるので深夜まで人通りが多く、私もニューオリンズに行けば昼夜問わず普通に訪れてる場所だけに、銃撃戦のシーンでは思わず「いやぁぁ!」と叫んでしまいました。怖すぎるのでこういうのはドラマの中だけにして欲しいです(切実)。ちなみにここではほぼ毎晩ブラスバンドがストリートライブをしており、この時も演奏が聞こえてきましたが、クレジットからおそらくNew Breed Brass Bandでしょう。比較的若いバンドで、S4E24のエンディングにキングのバーで演奏していたショーティくんことTrombone Shortyの甥御さんもメンバーです。

 

アメリアはラサールの銃撃で負傷しながらも逃走。チームが全力で行方を追う間、生死を彷徨うキングはS4E11で殺されたCIAのサッター捜査官の幻に出会います。彼女が、アナタ私のこと結構好きだったでしょ? さあ私の手を取って(=手を取ったら死ぬという設定)楽におなりなさい…などとキングに話しかけ、この世に未練のあるキングが抵抗するのですが、この手の「生死の境で(大抵は)既に亡くなった人と対話する」のはアメリカのドラマで本当によく見かける気がします。死んだら天国に行くキリスト教的な死生観なんですかね。私はこんなもんかーと思って観てるけど、少なくとも仏教の輪廻転生の死生観とは全然違うし、良くも悪くもPC的に今後こういう筋書きは少しずつ減っていくのかもしれません。

ただ今回違和感あったのは「なぜサッター?」です。キングと特にいい雰囲気とかでもなかったし、S4のキーパーソンて訳でもなかったし。そもそもほとんど記憶になくて、正直なところ一瞬「誰?」でした。

 

キングが運ばれた病院、番組ではSt. Mary's Hospitalとなってましたが実際はGravier Multispecialty Clinicという州立大(LSU)の付属病院です。ローレルの出身校ですが、ここはS1E11でボーイフレンドのオライオンが爆撃に巻き込まれて運ばれたのを始め、S2E3S2E22など、何度かロケ地として登場してます。

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病院にはロレッタと、DCからはリタが駆けつけますが、ローレルはニューヨークの空港トラブルで足止めされているとのこと。

 

そして久々に本家からのゲスト、モニター越しですがギブスが登場します。アメリアの極秘資料を提供してくれたのですが、彼女はCIA御用達の殺し屋で、夫はなんとS3終盤に出てきたハミルトンの手下ストーンでした。彼はS3最終話でキングと揉み合って転落死…というか真相はうやむやでしたが実質キングに殺されたようなもんなので、アメリアは復讐のためにここまで執念深くキングを追ったのですね。パットンやセバスチャンたちの懸命な捜査にもかかわらずアメリアの行方が特定できなかったので、「キングが回復した」というフェイクニュースでおびき出すという奇策に出ます。

…が、結局上手く行かずアメリアは病院に侵入し、ロレッタとリタがベッドを運んで懸命に逃げるも追い詰められていき、遂にキングは心停止。万事休すか?というところでラサールが駆けつけ、アメリアにとどめを刺す…ことはせずに逮捕しました。セバスチャンが止めなかったらどうなってたかな。ていうか生き残ったアメリア、動機が動機だけに再登場あるかもしれませんね。

 

心停止したキングには懸命に蘇生が行われるが反応しない。キングが幻の世界でいよいよサッターの手を取り光の中へ消えて行こうとした瞬間、ローレルの声が聞こえて目を覚ましました。なんとリタがDCに電話をしてギブスが手を回し、海軍の飛行機でここまで来たのでした。この時グレゴリオが"Just shut up and hug me please!"とセバスチャンに抱きつくのが可愛すぎて、お約束のシーンとはいえ結構感動しちゃいました。ツンデレな彼女のこと、ずっと強気な態度だったけど内心本当に不安だったんだろうなぁ。

 

その後キングの状態は安定し、心臓近くの銃弾を専門医に摘出してもらうためヒューストンの病院に移送されます。この時のヘリポートは、セインツ(New Orleans Saints)の本拠地、Mercedez-Benz Superdome(フットボール場)の目の前でした。

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実際にここにヘリポートがあるのかは不明です。結構低い位置だし、撮影用かな。

ローレルとリタは初対面だったようですが、状況が状況だけに昔からの知り合いのような連帯感がありましたね。ていうかキングとリタの役者さんたちがリアル夫婦なこともあってか、何だか家族っぽさすら感じました。

最後にもう一度だけサッターが現れて、今回のタイトルでもある"See you soon"と言って消えたけど、アメリアが生きたまま逮捕されたことと相まって「どうせまた死にそうになるわよ」という暗示とも受け取れたのは考えすぎでしょうか。

 

と初回から波乱に満ちてましたが、いくらキングが不死身とはいえ来週から普通に復帰はさすがになさそうなので、しばらくはラサールが「ボス」なのかな。新キャストの立ち位置や登場のタイミングなども気になるところです。

 

ところで昏睡状態のキングに対してロレッタが「戦うのに疲れたならもういいのよ」と声をかけるシーンがありました。ここもかなり胸に迫る場面でしたが、2人の長い友情関係だけでなく、ニューオリンズの人たちの死生観も少し意識されていたのかなと思ってます。この街の人たちが「死をも祝う」というのはこのドラマでも何度か触れられてますが、これはかつて奴隷として苦しい日々を送った人たちが、死によってその苦しみから解放されることを祝ったのが始まりと聞いたことがあります…が、ソースは見つからず、この記事この記事などによると、死を祝うのは奴隷たちの故郷である一部西アフリカの風習が発祥みたいですね。そういえばガーナ人の知り合いに聞いた話では、ガーナにも賑やかなお葬式があるんだとか(でも一般的な風習というわけではなく、「人による」そうです)。

なんにせよキングが亡くなったら盛大なセカンドラインが行われそうだけど、そこはまだ見せてくれなくていいので、これに懲りてあまり無茶せずもう少し長生きして欲しいです。ああでも、きっとまた無茶するんだろうな。。