SPITZ JAMBOREE TOUR "MIKKE" @ 横浜アリーナ

(セットリストなどネタバレ含みますのでご注意ください)

 

人生2度目のスピッツライブでした。

「空の飛び方」をほぼリアルタイムで買って以来そこそこ途切れず聴き続けてるのでファン歴は相当長いんですが、PV以外の「動くスピッツ」は見ちゃいけない的な思いが長らくあって、初めてライブに行ったのはほんの2年ほど前。スピッツってずっと何となく「ファンタジーの世界の人たち」「この世に存在してはいけない妖精さん」という立ち位置だったから、夢を壊したくなかったんですよね。だって例えばライブで演奏グダグダで声も出てないとか残念過ぎるし(その粗削りな感じが味になる人もいるんだけど、そういうスピッツは見たくないなという気持ちがあった)、まして草野さんが汗かきながら「エブリバディ!」って叫んだりしたら嫌じゃないですか(それスピッツちゃう)。でも次第に心境が変わったというか、YouTubeで少しずつライブ映像を観るようになるうちに、これなら行っても大丈夫(?)なんじゃないかという感じになってきたので意を決して足を運んだのが一昨年の30周年ツアー。そこでハマって今回晴れて2度目のライブとなりました。

 

ライブって、演奏はもちろん、特に行き慣れてないミュージシャンのだとお客さんのカラーや雰囲気を観察するのも結構面白くて、私まだまだ初心者なので今回たまたまかもしれませんが、スピッツのファンの方はとてもお行儀いいというか大人しいというかそんな印象です。わりと他のライブだとヒット曲のイントロが流れると客席が「わぁぁっ!」と沸くと思うんだけど、チェリーや楓みたいに来てる人なら誰でも知ってそうな曲が始まっても特にすごい沸くでもなく比較的通常運転。ノリが悪いって感じではないけど冷静なリアクションの方が多くて意外でした。でも何にせよマナーがいいのは素晴らしいことです。お客さんのマナーというか雰囲気が悪くて足が遠のいてしまったライブも幾つかあるので、気持ちよく観れるのは本当にありがたい。

 

そして、ちょっと上から目線な表現で恐縮なんだけど、本当に上手いというか、とにかく演奏すごくいいんですよね。レコーディングと遜色ない…というのは褒め言葉として適切なのか解りませんが、要するにとても安定感があって、でも意外にロック色も強くて、更には仲の良さげなまったりしたMCも可愛らしい。同行者は「そこそこ曲は知ってるけど熱心なファンてほどでもない」程度だったんですが、「演奏がすごくいいから知らない曲でも楽しかった! やっぱり30年間第一線で続けてる人たちってすごい実力なんだねぇ」としきりに感心していました。

そして何より個人的に推したいのはドラム。そもそも長らく封印してた「動くスピッツ」をなぜ解禁したかって、このドラムを一度生で聴いてみたい!と思ったからなんですが、崎山さんは期待を裏切らない素晴らしいドラマーさんですよね。

まあスピッツといえばやはり草野さんは草野さん、知名度的には間違いなくダントツでしょう。ギターの三輪さんも、あの髪型から目が離せないのも分かる。ベースの田村さんも、なんであんなにブンブン動いてるの?と釘付けになるのも頷ける。というわけで、ステージ上の位置もあって比較的影が薄くなりがちな崎山さんだけど…だけど、いいからとりあえずちゃんと観てみて!聞いてみて!もう、めっちゃいいから!! 私のどストライクに好きなタイプのドラマーさんとはちょっと違うんだけどすごいカッコいいし、私は自分が演奏するわけじゃないので技術的なことは解らないけど間違いなくスピッツに欠かせない人だと思います。アリーナクラスのライブでも充分楽しめるけど、もう少し小さなライブハウスとかで聴いてみたいよなぁ。

 

しかしもう随分長いこと活動していて皆さん結構いいお歳なはずなのに、本当に若々しいです。お客さんは親子連れなどで若い人たちもそれなりにいるものの、私も含めて順調に年を重ねてる感じなんですが、ステージ側だけ時間が止まってるのかと疑いたくなるレベル。MCでは「(先日出演したMステで)宮本さんやイエモンが出てくれたおかげで年長組が多くて安心した」「ハイビジョンの生放送でジャニーズと並ぶとヤバい」「90年代から聴き続けてくれてる皆さん、膝とか腰とか大丈夫ですか?」などなど年齢ネタ多めでしたが、なかなかどうして、草野さんは昔の曲も全然変わらず声出てるしお肌キレイだし田村さんはステージ端から端まで大暴れだし、やっぱり妖精さんなのかも?と何度も思いました(ていうかMステ観てたけど宮本さんやイエモンの皆さんも相当若々しいので、あんまり「年長組」感なかった気がする…)。ただ、朝ドラに使われなければツアーで歌詞変えてご当地ソングにしても良かった…とおもむろに「優しいあの子」からELTTime Goes Byを歌いだした時には、「これ若い子には通じないオヤジギャグかも」となりましたが(でも可愛いから無問題!)。

 

セットリストとしては今回はニューアルバム「見っけ」のレコ発ツアーということで、新譜からが多めでした。しかし「見っけ」なんて可愛いタイトル、アラフィフのおじさんたちが付けちゃっていいんですかね。いいと思います。スピッツだし。

それはともかく、やはり私は往年のヒット曲頼みのライブはあまり好きじゃないので、こういう「新譜を出して、ちゃんとそこからの曲をたくさん演ってくれる現役感あるライブ」はものすごく嬉しいです。でも一方で、やっぱりチェリーや青い車みたいに学生時代から大好きで聴いてた曲を当時と変わらない歌声で聴けるのもすごく感動する。当時はネットもなかったので私の中で「妖精さん妄想」はマックスだったし、あの歌詞も「これは…変態だと思ってしまう私の心が汚れているの??」などと悶々としていたのですが、そんな時代のあれやこれやも脳内で少し蘇ってみたり。当時は20年も経ってライブに行きハマることになるなんて夢にも思ってなかったでしょう(そもそもこんな歳まで聴き続けるとか、ご本人が活動されてるかとか、多分想像すらしてなかった)。人生何が起こるかわからんもんですね。

 

もっと早くから行っておけばよかった…という気持ちは不思議とあまりないんですが、でも今後はなるべくたくさん行きたいなと思ってます。

チケット取るのがちょっと大変なんだけど。