ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった(Once Were Brothers)

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ロビ爺さんことRobbie Robertsonの自伝「Testimony」をもとに作られた映画(ってことでいいのよね?自伝読んでないんだけど)。てっきりスコセッシさんの映画だと思っていたら、監督はダニエル・ロアーという20代の若いカナダ人男性でした。子供の頃からThe Bandを聴いて育ったようだけど、いわゆるリアルタイム世代では全然ないです(この歳だと親ですらリアルタイムじゃないのでは…)。インタビュー記事見つけたので貼っておきます。

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私はThe Bandの音楽はもちろん昔から大好きだけど、メンバー間の確執とかにはあまり興味がないというか積極的に知りたくないというかそういうスタンスで、ただまあ最低限の話は人並に知っている、という感じです。で、冗談半分・本気半分で「リヴォン・ヘルム原理主義」を自称しているのでロビ爺さんにそんなに良い印象はない。実際、最初この映画のトレーラーを見た時も最っ高にモヤモヤして、「短時間の予告だけで人をここまでモヤモヤさせるロビ爺さん、ある意味天才だな!」とも思ったのですが、観ないという選択肢はないので、せめて彼に丸め込まれないようにまずはリヴォン・ヘルム様の自伝で予習することにしました。結局事前に読み終えるどころか2人が出会うところすら間に合わなかったんですが。ダメじゃん。

 

まあ観終わってみれば良くも悪くも予想通りのロビ爺さん独演オン・ステージ、特段丸め込まれることもなく思ったほど激しくモヤモヤするでもなく、結構楽しめました。何というか、まあこれが彼と奥様にとっての「真実」だと言うのなら「ああ、そうですか」としか。ただ、私もリヴォン・ヘルム原理主義とはいえ彼が聖人じゃないことくらい解ってるけど、解散後の不仲を「嫉妬」や「思い込み」と言い切ってしまうのはどうなんだろう。「そういうとこやぞ」と言いたくなる気持ちは否定できません。

でもまあ、ロビ爺さんもかつて人生最高の時間を共にした兄弟のようなリヴォン様に「誤解」され、ちゃんと和解できないままお別れしちゃったのは本当に悲しかったんだろうな…と、しんみりするくらいには丸め込まれました。当時彼が病床を訪ねた話はリアルタイムで読んでたし、思い出してちょっと泣きそうになりました。

しかし言い方は悪いが死人に口なし、ここまできたら残る唯一の存命メンバー、ガースさんがお元気なうちに口を開いて思うところを語って欲しい気もすします。彼が今もウッドストック在住なのが全てを語っているような気もするのは考えすぎでしょうか。

 

で、映画観てから色々ネット探してたら見つけた記事。

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ボブ・ディランに造詣の深いみうらじゅん氏なので踏み込んだ感想が読めるかな…と思いきやほとんど髭の話しかしてないという。まあ、ある意味期待を裏切らないとも言える。

ていうか驚いたのが映画にも登場してノリノリで色々と話していらしたドミニク・ロバートソンさん、ロビ爺さんも馴れ初めとかをデレデレと話していたんだけどお2人離婚しとったんかい!! なんなんだ。そしてこの記事にも書いてるNo Direction Homeも確かに、ボブ・ディランの元カノさんたち(Mavisも!)が、うっとりと幸せそうに思い出を語るシーンがあってディランは天性のモテ男なのか!と思ったんだけど、わりとよくある話なんですかね。そんなシチュエーションに出くわしたことないので断言はできないけど、私は元彼の映画に出るとか絶対嫌だけどなぁ。

ちなみに驚いたといえばロニー・ホーキンスさんがご存命だったのもびっくりでした。私の中でいつの間にか勝手に鬼籍に入ってたよ。すみません…。

 

そうそう、ドミニクさんについては後日ふと思ったのが、これロバートソン(元)夫妻視点で描かれているから見えてこないけど、実際ビッグピンクでの共同生活の中に1人だけ「家族」を持ち込むのってどうだったのかな?とは思います。「ジョンとヨーコ」ほどの爆弾ではなかったかもしれないけど、正直残りの4人は結構やりづらいこともあったのでは。当然価値観や優先順位も違ってくるし。案外「人生最高の時間を過ごせた」と思っていたのはロビ爺さんだけだったりして…という悲しいオチではないことを祈ります。今後リヴォン様の自伝を引き続き読み進めたら色々わかってくるのかな。なんか知れば知るほど私の中でラストワルツにケチがつきそうで不安でもあるんだけど(メンバー確執エピソードを今まで積極的に知ろうとしなかったおそらく最大の理由)。

 

2年前に公開されたクイーンの伝記映画「Bohemian Rhapsody」が驚異的に大ヒットし、この映画の内容がもはやオフィシャルな事実のように誤解されがちなこともある昨今、Once Were BrothersがオフィシャルなThe Bandの歴史として認識されたら嫌だなぁとかずっと思ってたんですが、ネットで感想を読む限り皆さん比較的冷静なようで安心しました。まあそもそもこの映画を観に行ってる時点でThe Bandの結構なファンで、ロビ爺さんの性格(口の上手さ?)やリヴォン様との確執なんかはすでに私よりよくご存知の方が多かったのでしょう。自意識過剰(?)というか、クイーンとの人気の差を見せつけられたようで少し残念でもあります。いや、クイーンも大好きだけどね!