Jazzfest 2019, April 28 #3

今回わずか3ヶ月ちょっとぶりにもかかわらずニューオリンズに再び行こうと思った理由は色々あります。というか、行きたい・行ける・行くべき理由なら常に無限にあります。でも最終的に背中を押されたのは、この日にMelissa Etheridgeのニューオリンズ公演があったから。

 

ニューオリンズ関係ないやん!なんですが、むしろ「だからこそ」かもしれません。

今や私の好きな音楽のほとんどはニューオリンズ関連になってしまいましたが、それ以外にも大好きなミュージシャンはいます。日本に来てくれる人ならいいんですが残念ながらそうばかりでもなく、でもじゃあ彼らを単独で観るために海を渡るかと言われると、限られたリソースをそこまで割り振れない…でもいつかは観たい!!という人も結構いて、Melissa Etheridgeもその1人なのです。

 

Come to My Windowをリアルタイムで聴いて以来だからかれこれ25年。ずっと聴き続けている洋楽アーティストでは、エアロスミス等と並ぶ最古参です。アメリカではグラミーを複数回、「不都合な真実」のテーマ曲でオスカーまで獲っているかなりのビッグネームで、また90年代に早くも同性愛を公表しており、カミングアウトした同性愛者として初めて大統領(当時はクリントン)の前で歌を披露した歌手なんだそう。アメリカではゲイ・アクティビストとしても広く知られています。

日本でも何枚か邦盤アルバムも出てるようですが知名度は今ひとつなので、来日は考えにくく、でもいつか観たいと願い続けてました。

 

そこへジャズフェス期のニューオリンズ公演の発表。しかも場所と時間を調べたらフェスを最後まで楽しんでも十分間に合う時間帯。これはもう行くしかないでしょう!

いわゆるVIPチケットでリハ見学も少し惹かれたんですが、そうするとジャズフェスを諦めねばならず、さすがにそれは…ということで普通のチケットに。滞在中なるべくフレキシブルに行動したいので基本的にライブチケットは出発前に予約しないようにしてたんですが、この公演だけは押さえました。しかし海外のチケットサイトも結構な手数料取りますよね。とはいえネット環境あれば簡単に予約できるし(コンビニ発券とか専用アプリとか、まして郵送とか不要)、何より予約時に座席を指定できるので腹立たしさは激減です。ていうか座席指定なんて当たり前だと思うんですけどね。それに私は今回使ってないけど、保険制度(数ドル足すと、万が一行けなかった時に全額返金してくれる)があるのもいいですね。

 

会場はSaenger Theatre(なぜか英国スペル)。

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(なんともアメリカンな感じで素敵な外観)

 

自分でチケット取って行く公演としては初のホールコンサート。さすがにライブハウスほど適当でもなかろうと、開演前に着きました。とりあえずグッズ売り場でTシャツ購入。Tシャツ山ほど持ってるのに、毎回なにかしら理由をつけて買ってしまう…でも今回はしゃーないよねー。本当に最初で最後かもしらんし。記念品なのでツアー日程書いてるのが欲しかったけど、ユニセックスでSでもかなり大きくかなり迷った末に別柄のレディースを購入。形も綺麗で普通に外出時に着てるので、結果的に正解だったかも。大きいのを無理して買うとパジャマ行きになるのよね…。

 

ちなみに会場ですが、めちゃくちゃ!素敵でした。建築とかよく知らないし上手く表現できないけど、ディズニーランドのシアター(具体的にどれという訳ではなく、それっぽいシアター)をぐっと格上げしたような感じというか。他を知らないので比較できませんが、メリッサねえさんもMCで”gorgeous theater”と言ってらしたので素敵な部類に入るのではないでしょうか。

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(写真だと伝わりにくいんだけど、ロビーも客席もとにかく素敵!)

 

ただ困ったことに、エアコン効きすぎでとにかく寒い! 多少は予想してたので薄手とはいえ長袖にジーンズに着替えるくらいの対策はしてましたが全然ダメで、買ったばかりのTシャツを重ね着してストールにくるまってみたけどまだ寒い。せっかくバーもあったんだけど、冷たいお酒など到底飲む気になれません。温度設定間違えてるんじゃ?ってくらいだったけど誰もそんな素振りはなく、むしろノースリーブや短パンの人も結構いて、ビールもガンガン飲んでました。おかしくないか?私がおかしいのか?!

 

そして私の情報収集不足で知らなかったんですが、オープニングアクトがあったんですね。カントリー風の弾き語りの女性シンガー(名前聞き取れなかった)。悪くはなかったんだけどとにかく寒いし、こちとら25年越しのメリッサ・エスリッジ様を観たくて緊張しながら会場入りしたところへの不意打ち(?)で落ち着いて観れる気分じゃなく、あまり記憶に残ってません…ごめんなさい。

彼女が1時間くらい演奏して更に30分休憩。しつこいけどとにかく寒くて、なんかもう開演までにぐったりしてしまいました…。あうー。

 

それでもどうにか開演したらさすがにテンション回復。うわぁぁぁ、ついに、遂にメリッサねえさんにご対面!!! と大感動してたんですけど、相変わらず演奏聴かないアメリカ人の皆さん、開演しようがお構いなしに会場を出たり入ったりして飲み物買いに行ったり喋ったりで若干テンション削がれる(笑)。通路すぐ隣の席だったので余計になんですが、わりとひっきりなしに人が通ってました。座席のあるホールだからといってお行儀よく聴いてる訳じゃないんですね…。

うろつく人たちが気にならないと言えば嘘になるし、音楽始まって多少温まったとはいえ相変わらず寒さに震えてはいたけど、それでも肉眼で見えるところに本物のメリッサねえさんがいて、あの声で歌って、喋って、ギター弾いてというのは感動でした。いやね、もう随分経つけど癌サバイバーだし、まだお若いけど(というか癌ならお若いが故に)いつ何があってもおかしくないなぁって気持ちは心のどこかにずっとあったので。間に合って良かった。というかお元気そうで良かった…。

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(お姿を肉眼で観て、生の演奏を聴けただけでも大感激でした。25年だもんなぁ。)

 

そしてメリッサねえさん、よく喋るんですね。もちろんYouTubeとかで映像はそれなりに観てたけど、こんなに喋ると思わんかった。陽気なおばちゃん感がかわいいです。

 

一応新譜Medicine Showのレコ発ツアーなのでここからの曲がメインだけど、なんかもう今回は「とにかく観る」ことが主目的だったのでセトリとかわりとどうでも良かったです。と言いたいとこだけど…でもちょっとは期待するよね。往年のヒット曲で盛り上がるのは好きじゃないとか日頃は散々言ってるくせに、でも最初で最後かもしれないからやっぱり聴きたい。Yes I Amの曲を聴きたい!!

Yes I Amは私が最初に出会ったきっかけでもあり、多分人生の中で最も聴いてるアルバムの1枚なんです。そりゃ最近でこそほとんどニューオリンズ音楽になっちゃったし、そうなる前も私なりに色々聴いてきたけど、やっぱり出会ってからの期間が違う、年季が違う。そしてやっぱり昔は「アルバム単位で聴く」時代だったから、「アルバムとしていちばん聴いているもの」を挙げるとYes I Amは5本の指には余裕で入るでしょう。なので、正直どの曲でもいいから聴きたかった。

…と思っていたら、終盤でCome To The Windowやってくれました!! もうねぇ、涙止まんなかったです。歳のせいか涙腺ゆるくてもう…。ありがとう。ありがとう(号泣)。

しかもしかも、それだけでも嬉しかったのに、なんとI’m The Only Oneまで!! うわぁぁぁん(再び号泣)。

そりゃね、アルバムって意味ではBreakdownも相当聴いてるし、他にも好きな曲いっぱいあるし、アレとかコレとか聴きたかったと欲を言えばキリないですよ。でも1回のチャンスでこの2曲が聴けたのなら文句はないです。あるわけないです。

初めてだったし、今回のライブが普段と比べて良かったのかとか全然分かりません。でも別にそこは正直どうでもいいです。25年越しの夢が叶ったというか、バケツリストをひとつ消化できたというか、そんな謎の達成感と充実感みたいなものもあったし、大満足です。

とは言え少し時間が経った今となっては「もう少しライブとして冷静に観たかった」という気持ちもあり。やっぱりもう一度観たいよねぇ。人間の欲ってのはどうしようもないですね(いきなり話が壮大になる)。

 

しかしSaenger Theatre、本当にものすごく素敵な建物だったけどとにかく寒かったので(何回言うねん!て感じだけどホントに寒かったの…)、次回行く機会があったらガッツリ防寒していきます。そしてこういう「ちゃんとした(?)」ホールコンサートは、オープニングアクトの有無も調べてから臨んだ方がいいですね。またひとつ賢くなりました。