Rest in Peace, Mr. Mac Rebennack, aka Dr. John

朝、スマホのアラームで一応目を覚ましたものの、まだ眠いなぁ~仕事行きたくないなぁ~などとグズグズ思いながらベッドの中でTwitterを眺めていたらDr. Johnの訃報が目に入り、一気に眠気が吹っ飛んでしまいました。

6月6日未明に心臓発作で亡くなったとのことです。77歳、アラン・トゥーサンと同じ歳でした。現地の夕方あたりにご家族から発表があったようですが、その後も次々と地元メディアが報じています。

まずはOffBeat:

 

Facebookのポストでは1992年のインタビューも紹介してました。27年前! さすがOffBeatさん、持ってらっしゃいますね:

www.offbeat.com

 

WWOZも当然、トップで報じています:

www.wwoz.org

私はWWOZは大抵New Orleans Music Showをアーカイブで聴いてますが、今日は朝晩の通勤に昼休みと時間の許す限り中継を聴いており、その範囲ではずっとDr. Johnを流していました。60年近くのキャリアで新譜も比較的最近まで出してる、ましてWWOZはジャズフェス音源などもお持ちでしょうから、何時間でも放送できますよね。

 

そしてNew Orleans Advocate。こちらはKeith Speraさんによる記事。ちょっとこれは、後でじっくり読みます。彼は私がいちばん好きで、いちばん信頼しているニューオリンズの音楽ライターさん。特に追悼記事は、今まで幾つも読ませていただきましたが本当に愛の溢れる素晴らしい文章を書く方です。

www.theadvocate.com

 

そしてnola.comも:

ネット(主にTwitter)上での反応もまとめられています:

www.nola.com

 

地元メディア以外でも、取り上げ始めるときりがないくらい色んな記事を見つけました。ニューオリンズのミュージシャンがここまで話題になったのはAllen Toussaintの訃報以来かな。亡くならないと話題にならないのは残念ですが。。

日本のメディアでもそこそこ話題になっていて、NHKニュースやYahoo!ニュースにも訃報が掲載されていたし(「米音楽家ドクター・ジョンさん」的な表記はちょっと違和感あるけど、まあニュース記事だと他に書きようないか…)、InterFM(関東のラジオ局)ではニュースとともにSweet Home New Orleansが流れました。(いうまでもなく、私のソーシャルメディアのフィードは日本語英語問わず、Dr. Johnで埋め尽くされました)

 

正直言えば、この日が遠からず来ることはうっすら覚悟はしていました。ここしばらくは一切公の場に姿を見せていなかったし、現地で知り合った人たちの誰に訊いても、「健康問題を抱えていて、結構深刻らしい…」「もうお歳だからね…」と歯切れの悪い答えばかりで、能天気もとい楽観的なニューオリンズの人たちでさえあまり希望的なコメントをしていなかったので。とはいえ音楽界には80歳で現役バリバリの人などもいらっしゃるし、心のどこかで希望を持ってしまう部分もありました。演奏は無理でも、節目のイベントなどに顔だけでも出してくださらないかな、とか(そういうことを彼が良しとしなかったので、長い間出てこなかったのかもしれませんが)。なので、訃報は比較的冷静に受け入れられた反面、最後の望みが断たれてしまった感もあります。

 

私はニューオリンズ音楽に出会ってまだ10数年そこらなので、生で観た機会はそんなにありません。ニューオリンズでは結局観れずじまい、日本でもビルボードはだいたい行ったと思うのですが、そのくらいかな。

一度だけ、来日された際に当時のバックバンド、Lower 911のドラマーRaymond Weberさんがライブに招待してくれてビルボードの楽屋にお邪魔したことがあります。バンドの皆さんは2ndのショーが終わった後も飲んだり食べたり喋ったりと盛り上がってましたが、Dr. Johnはホテルに帰るところでした(当時も足元はあまり覚束ず杖をついてらっしゃった)。私たちの前にゆるっと登場されて、その時に確かRaymondが紹介してくれたのですが、途端にあの気難しそうな表情が一転し、もうびっくりするくらい相好崩して優しい笑顔でにっっっこり微笑んで握手をしてくださったんです。まさに好々爺って感じで。それまでDr. Johnって怖そうだし、見知らぬ人が楽屋に出入りしててたら不機嫌になるんじゃないか、本当にお邪魔しちゃっていいのかと内心ちょっとビビっていたので意表を突かれたんですが、次の瞬間「か、かわいいこの人…!!」と、一気に大好きになってしまいました(もともと大好きでしたけど)。ギャップ萌えってやつですかね。

今思えば写真撮っていただけばよかったなぁと後悔してるんですが、いくら笑顔を見せてくれたとはいえ、当時はちょっと勇気が出ませんでした(その後ニューオリンズで色んな人に接した今となっては、たぶん頼めば快く応じてくださっただろうなと思います)。

 

数々のグラミーを授賞し、ロックの殿堂入りし、いろんな人と共演し、日本でも「ニューオリンズの音楽に特別興味がなくてもDr. Johnは知ってる」という人、彼(特に「Dr. John's Gumbo」)をきっかけにニューオリンズの音楽に興味を持った人も結構いたようです。ネットを見てても、いろんな人(「え、この人も!」みたいな意外な方も含めて)がDr. Johnにまつわる思いなどを書いています。決して解りやすくポップな音楽ばかりを作る人ではなかったけど、あの独特の世界観はたくさんの人を魅了してきたんですね。

私にとってもそういう大きな存在だったと同時に、ニューオリンズに行けば「友達の友達」くらい案外近いところにいるマックさんという不思議な感じでもあり(これはネヴィル家の方々にも言えるのですが…)、そしてビルボードの楽屋でにっこりと笑いかけて握手をしてくれた素敵なおじいちゃんでもありました。

寂しいけれど、ニューオリンズ流に「彼の人生を祝福(celebrate his life)」しながら、これからもDr. Johnの音楽をたくさん聴き続けようと思います。