New Orleans, January 2019 #8

■ Arséne Delay & Charlie Wooton @ Buffa's (Jan 21)

昨年10月末に来日してくださったチャーリーさんと再会してきました。わーい!

来日時のイベント(Live Magic)に私がWWOZのTシャツを着て行ったのをチャーリーさんが見つけてくれて、「来年多分またニューオリンズに行く」と話したところ「来る時は連絡してね!」と言ってくれていたのです。正直「どうせ忘れとるやろー」と思ってたんですが、出発前に一応連絡してみたらちゃんと覚えてくれてました。なんかごめんなさい。。

私の滞在中はちょうど別の仕事でメキシコに行ってたらしく結局この日しかお会いできなかったんですが、お店に行ったら「おおおお!」と、まるで生き別れの妹と再会したのかってテンションでハグされた…けどちょっと待て、そんな親しくないやろ。なんなら「メキシコ行く前に連絡する」とか言いながら忘れとったやろ。と内心突っ込んでましたが、この感じがとてもニューオリンズの人っぽい。(きゃ、シリルさまと間接ハグ♡と思ってしまったのは内緒です。キモいですねすみません)

 

ヴォーカル&ギターで共演していたArséneさんは、あのJohn Bouttéさんの姪御さん。日本ではまだ放送されてないけど、最近NCIS:ニューオーリンズS5にもご登場されたので来年あたり日本でもその歌声が聴けることでしょう(スパドラさんよろしくお願いします)。チャーリーさんからWWOZのTシャツを着た私の写真を事前に見せられていたようで、「OZの人」と認識されておりました。うん、喜んで「OZの人」になるるので雇ってください!最近チャーリーさんとはよく共演されていて、Zydefunkでも公演によっては参加されてるみたいです。

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(萌え袖なチャーリーさんがかわいい)

 

アーセンさん名義でもCDを出していて、そこからの曲もあったようですが、カバー曲なども結構ありました。選曲がCity of New OrleansとかTime After Timeとか、ブッテおじさんと同じものが幾つかあったのは意図的なのか偶然なのか(あとHeart of Steelもやってくれた!)。なんにせよさすがブッテファミリー!と思わせる深くて美しい声のお方でした(もちろんめちゃくちゃ上手い)。個々人の努力を否定する意図はないし、DNAや育った環境だけが全てだとは思わないけど、ニューオリンズの音楽一家の血ってすごいですよね。(これは後述のMaple Leafでも感じた。)

チャーリーさんのベースも、ごりごりなファンクも当然カッコいいんですが、Zydefunk単独の時にベース一本で弾いたYou Are My Sunshineとかがすごく素敵で、少人数の編成の方があの独特な感じが楽しめるので、また聴けてとても嬉しかったです。

 

休憩時間に色々お話したのですが(しかもサイダーご馳走になっちゃった!ありがとう!絶対ここ読んでないけど!)、相変わらずRSBネタからシリルさまの話へ持っていこうとする姑息な私。そういえばメキシコへはとあるお金持ちの結婚式の余興的な感じでバンドで呼ばれて行ったそうです。そんな話からセカンドラインウェディングの話になったんだけど、あれはニューオリンズの伝統というよりは、お金持ちの人たちがイベント的にやってる感じらしいですね。やっぱりなー。お葬式の話は有名だけど、結婚式は色々調べても起源がなかなか出てこなくて謎だったんだよね。伝統云々ていうか、そもそも縁起悪くないか?って気もするんだけど、「まあ、お金入るしいいんじゃない? 警備の仕事は警察官のいいアルバイトになってるみたいだよ。」と案外現実的な返事。

ちなみに日本は本当に楽しかったみたいで、多分リップサービスではなく、また是非近いうちに行きたいなぁと言ってました。これよく言われるけど、日本はファンもスタッフもとてもミュージシャンを大事に扱ってくれる、とのこと(そんな、ニューオリンズからいらしてくださった方々を雑に扱うなんてありえないんですけど)。でも2日前にジェイクさんとサスペクツのマネージャーさんが「日本から来た私」にとても良くしてくださったのも、自分たちが日本で大事に扱ってもらえたお返しというか、そういうことの積み重ねの結果かもしれないですよね。先輩方に感謝です。「できれば来年くらいにまた行きたい」が帰る頃には「来年また行くよ!」になってたので、誰かチャーリーさん呼んであげてください。今年Charlie Wooton Projectで新譜も出るみたいだし!

 

その後少し次のライブ(Antoine Diel w/Josh Paxton)も観てました。ゴスペルっぽい曲が多かったんですが、Joshさんのピアノも素敵だしとても良くて、次がなかったら最後まで居たかったくらい。Antoineさんは、Leon Russell目指してヒゲと髪を伸ばしているけどまだ白くならない、などと話してました。薄くなる方向だと判明した場合はどうするのか気になるところです。

 

あと会場のBuffa'sですが、Esplanade Ave沿いでFrenchmenからも近い好立地、ご飯美味しいし店員さんめちゃくちゃ感じいいしで最高でした。次も絶対行く。お昼から開いてるし夕方以降のライブもチャージフリーなので気軽に入りやすいと思います。ただ一皿がすごいボリュームだったから、次回はお腹すかせて行かないと。

 

 

■ Special Forces (Daryl Johnson, Brian Stoltz, Russell Batiste & Jeff Spence) @ Maple Leaf Bar (Jan 21)

続けて今回滞在で3度目のMaple Leaf。よく解らないけどRussell Batisteの名前を見つけてとりあえず行ってみた、という感じでした。

いやだってさ、funky Metersは随分前に解雇されちゃったし去年ジャズフェスでJoe Krown Trio観に行ったらドラムが違う人(Wayne Maureauさん)だったし、ラッセル最近どうしてるんだろう…って密かに心配してたんです。一応Friends名義で地元のフェスに出たりとか、あとVida Blueって元Phishの人のバンドにいたとかそれなりに情報はあったんだけど、ここ最近ほとんど音沙汰ないし。タイミングよく滞在中にライブがあったので、久しぶりに彼のドラム聞きたい…ていうか生存確認しないと!という感じでした。

 

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ラッセル生きてたよ!!)

 

結果的にはラッセル、ちょっと太った…?くらいでお元気そうでした。そして久しぶりに、しかも至近距離で聴く彼のドラムはめちゃくちゃカッコいい。人としてどのくらいアレなのか知りませんが、とりあえずドラマーとしてはほんっっと最高なので、今後も人間関係を崩壊させすぎず、活躍していただきたいです。

 

で、一応メインはラッセルの生存確認だったはずなんですが、Fiyo on the Bayouで始まりPeople Say、Hey Pockey A-Way、Africa、Brother John〜Iko Iko、Jambalaya、さらにゴスペルメドレーも挟まれて、「ジャズフェスのネヴィルですか!」的なセットリスト。ラッセルおじさんとストルツさんですからMeters的と言うべきなのかもしれないけど、そこはかとなくネヴィル感がにじみ出てたんです。楽しすぎて脳から変な汁が出てました。ヴォーカルとベースがDaryl Johnsonさんなんですが、この人がちょっと常軌を逸したレベルでかっこいいんです。ついでに言うと相変わらずここのお客さんは頭がおかしくて(ほめてます)、ステージに勝手に(?)上がって歌ったりカウベル叩いたりオルガン弾いたりラッセルに変な眼鏡かけさせて自分は踊ってたり…なんなんだ。最高じゃないか(カウベルの女性がめちゃくちゃ上手くて、これもネヴィル感に貢献してました)。

 

終わった後あまりにすごくてボケーとしてたら、隣のおじさんにWelcome back!と声をかけられました。え、誰?と思いながら適当に話を合わせてたら途中で思い出した、サスペクツのライブでも会った人だ! 確か「日本に昔住んでたんだけど、貴女を見て日本人かな?と思って声かけてみた」とか言われてめちゃめちゃ警戒しまくりで塩応対したので顔とか全然覚えてなかった。結局、共通の知り合いも色々いらして全然怪しい人じゃなかったので非常に申し訳なかったんですが、向こうもそれは解ってくれたみたいで「女性一人で来てるんだし警戒して当然だよ」と言ってくれたので安心しました。で、このおじさんとダリル・ジョンソンてすごくね?何もんよ?とか言いながらWikipedia見つつ話してたんですが、どこかで名前を聞いたことがあると思ってたら昔Neville Brothersでもベース弾いてたんですね。

そして鍵盤のジェフ・スペンスさんという方は初めて知ったのですが、ニューオリンズ出身だけどKatrinaの時にサン・アントニオに避難してずっとあちらで暮らしていたけど、やっぱり帰ってきたいと最近戻ってこられたそう。で、ジェフさん自ら教えてくださったんですが、なんとダリルさん、シリルさまの甥っ子さんだった!!

いや、後出しジャンケンじゃなく、実は「ちょっと見た目や雰囲気がシリルさまっぽいな〜」とはずっと思ってたんです。

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ね、ね、ちょっと顔立ちとか体つきとか似てるでしょ??

あの、さっきも書いたように身も蓋もなくなっちゃうからDNAとか育った環境とかあんまり言いたくないんですけど(クリアリーさんやCRさん、日本からは山岸さんみたいにニューオリンズ愛あふれて第一線で活躍されてる他所の人もたくさんいらっしゃるし!)、やっぱりあの「ネヴィル感」と常軌を逸したカッコよさ、普通じゃなかったんです。しかもジェフさんもネヴィル家とかなり付き合いが長そうで、多分「わかってる人」だと思うので、そりゃこのメンバーだもの、ネヴィルだわ〜、と。色々納得しました。

しかし私のネヴィルセンサー、我ながらいい仕事をします。昔ジャズフェスのライブ音源聴いてて「この声は絶対やんごとなき血筋!」と思ったらジェイソンくんだったり、WWOZ聴いてて「これちょっとかなりいいんですけど!誰!?」と思ったらNeville Jacobsだったり。人の顔や名前を覚えるのは苦手だと思ってるんですが、このネヴィルセンサーの働きぶりを見るに、結局愛とやる気がないだけなのかもしれません。