New Orleans, January 2019 #7

前日(というかもう当日)朝の6時まで遊んでしまったので、とりあえず昼過ぎまで寝る。オールなんていつ以来だ….どうせ数日後に日本に戻ればまた時差があるからまあ別にいいか。

日曜日ということでセカンドライン観に行こうと、WWOZのサイトでルートを下調べしてそれに沿って自転車を走らせたのですが、それらしきものに出会えず。ルートは地図ではなく「〇〇通りから〇〇通りへ…」みたいな記述なので非常に解りづらく、私が道を間違えた可能性も捨てきれないんですが、この日は午後からセインツ(New Orleans Saints。ニューオリンズフットボールチーム)の大事な試合ということで急遽中止になったのかもしれません。実際フレンチクオーター含め市内は全体的にひっそりしており、Bywater地区のバーなどを通りかかると大混雑で、歓声や"Who Dat!"の掛け声が聞こえるとかそんな感じでした。

 

■ Saints Game

私はフットボールはルールもリーグ戦の仕組みも全然解らないんですが、今シーズンのセインツがどうやら調子がいいのはうっすら知ってました(TwitterやInstgramの現地アカウントがめちゃくちゃ盛り上がるので)。プレイオフも勝ち進み、この日のゲームに勝つとSuper Bowl(全米1位を決める決勝戦。ハーフタイムショーの出演者は日本でも毎年話題になりますよね)の出場が決まるというとこまで来ていたそうです。しかも会場は地元のMercedez-Benz Superdomeと有利な条件。私は日本を発つ直前にTwitterでそのことを教えていただき初めて知ったんですが、入国審査の係官に滞在先を訊かれ「ニューオリンズ」と答えたら「フットボール観に来たの?」と言われるし、UberLyftに乗っててもドライバーさんに「セインツゲーム楽しみだねぇ!」と言われるし、道を歩いててもセインツユニフォーム着てる人たくさん見かけるし(特に9番、人気クオーターバックのDrew Breesのもの。さすがの私も覚えた!)、ライブ行ってもセインツネタ(ヴィダコヴィッチさんはセインツ服を着て、Miaさんはセインツタオルを持参、サスペクツは「聖者の行進(セインツの応援テーマソングでもある)」を演奏)、とりあえずあいさつ代わりに"Who Dat!"の声が上がる、そんな感じでした。いやこれ、私フットボール好きだったらめちゃくちゃ楽しかったんじゃね?なんか残念!と思ったくらいです。

ちなみに"Who Dat”とは、"Who dat say dey gonna beat dem Saints"の略、訛りを外すと"Who that say they're gonna to beat the (them?) Saints"なのかな(細かいとこはちょっと自信ない)。要するに「誰がセインツを打ち負かすだって? んなわけねーだろ!(反語)」という意味の応援かけ声で、クイーンファンにおける「AY-OH!」みたいなもんです(多分ちょっと違う)…すみません、詳しくはWikipedia読んでください(私もまだちゃんと読んでない)。

聖者の行進ではこんな感じでWho Dat!の掛け声が入ります。アーロンさま素敵(貼りたかっただけ)。

youtu.be

 

で、前置き長くなりましたが、セカンドラインのルートをひと走りしてフレンチクオーターの外れあたりにたどり着き、お腹がすいたので適当にレストランに入るとそこでもセインツの試合をテレビで映している。せっかくだし食べながら観戦しました(関係ないけど適当に入ったのにガンボめっちゃ美味しかったです。店名忘れた…場所は行けば思い出しそうだけど)。

対戦相手はLos Angels Rams、試合は既に終盤です。序盤はネットで何となく経過を追っており、わりと余裕で勝っていたので「さすがホームゲーム! 今年はスーパーボウルだな!」とか思ってたんですが、その後かなり差を詰められてました。しかしとにかくルールが全く解らないのでスコアと周囲のお客さんの反応から展開を察するしかない。結局僅差から引き分けに追いつかれて延長戦に突入、セインツは逆転負けでした。。

負けた瞬間、店員さんが「もういい!」とばかりにテレビの音声消して音楽を流し始めたので全然状況読めなかったんですが、後になって色々教えていただいたところ、どうも審判が取るべきラムズのファウルを取らず、そのまま同点→逆転負けとなったらしいです。更にその審判はLA出身だとか、LAは新しくスタジアム作ったのに客足が伸びず、経済効果を上げるために汚い手でNFLが勝たせたとか、まあスポーツイベントにありがちな陰謀論が次々と。後日この辺を説明してくれた現地の友人もさすがに苦笑しながらthat’s the “theory”とは言ってたけど、それでも全体的に地元民の怒りたるやすさまじく、試合当日夜のソーシャルメディア上では審判生きて帰れると思うな的な穏やかでないポストも見かけました。怨嗟はスーパーボウル当日まで続き、観戦ボイコット運動とか、NFLのロゴを「NAH(Noを意味する口語)」にもじったTシャツ販売とか、色々やってました。ただ、セインツの選手を責める言葉はまったく聞かず、むしろ彼らをねぎらいパレードすべき!とかそんな感じだったのが良かったなと。

ちなみにこの試合、日本でも中継されていたようで、我が家のHDDがキーワード録画してくれてました。今回、フットボールのルールが解ればもっと楽しめたのに!と思ってたし、客観的に見て審判の判断てどうだったんだろ?という興味もあったので、帰国後に録画を観ることに。結局ルールは解らず観続けるのは苦痛だったので早送りしながら最後の20〜30分だけちゃんと観たところ、確かに審判のmissed call(ファウルの取り損ね)はあったもののセインツも調子が良いとは言えず、ここでファウル取ってくれてても流れ的に勝てたかどうかは怪しいな、というのが正直な印象でした。そして誤審もニューオリンズの人たちが怒り狂うほど深刻ではなさそうな感じでしたが、そうは言っても大事な試合で接戦だったんだからそういうミスは後味悪いよなあは思いました。もっとも、中継者や解説者が全体的にラムズ寄りじゃない?と何度か軽くイラっとした私も既にセインツ贔屓な気がするので何とも言えません…。

 

■ Hot 8 Brass Band @ Howlin' Wolf (Jan 20)

その後、夜はHot 8を観にHowlin’ Wolfへ。前を通りかかったことは何度かあったんだけど、中に入るのは初めて。お腹いっぱいだったので食事はしなかったけど、ご飯も美味しそうでした。ステージのあるDenとは完全に仕切られてるので、食事しながらライブを楽しむ感じのお店ではないです(休憩時間にダイニングに出て飲み物注文したりはできる)。逆に言えば、ライブ特に興味なければチャージ払わず食事だけもできます。コンベンションセンターや大きめのホテルも比較的近くにあるし、出張者やガチ音楽ファンではない訪問者にも良いお店なんじゃないでしょうか。だからなのか、Hot 8がグラミー候補でそこそこ知名度あるからなのか、初めて「明らかに観光客とわかるアジア系のお客さん」を会場で見かけました。話し声から多分、中国系の若いカップル。今や小金持ちの中国人観光客が世界中を旅行しているイメージですが、ニューオリンズはまだ知られていないのか彼らのテイストに合わないのか、ほとんど見かけません。今回も見かけたのはこの時だけでした。NCIS:ニューオーリンズって中国では放送してないのかな。

 

それはともかく、Hot 8。

実はニューオリンズブラスバンドをフルで観るのは初めてです。そしてHot 8も多分初めて。Frenchmen行けば大抵出くわすし、ジャズフェスやLMFのインストアでも結構観てるし、来日すればほぼ欠かさず行ってるんだけど(Soul Rebelsとか計4~5回は観てる)、逆にそれだけ観る機会があったので、敢えてじっくり観に行くことがなかったのかも。

 

私のお気に入りブラスバンドのCDってForgotten Souls Brass BandやTreme Brass Bandのインディアン曲ものあたりで、たとえばヒップホップ寄り(?)のHot 8やSoul Rebelsとかはあんまりガツガツ聴かないんですが(なので今回のライブも聴いたことある曲はそれなりにあったけどあんまりタイトルとか解らんかった)Soul Rebelsは大好きだし、去年ジャズフェスでサム・ハンナ観たいというミーハー心でLL Cool J観に行ったら「あれ、こういうの結構好きかも…?」てなったので、今回もわりと楽しみにしてました。

 

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うーん、いい感じで黒い。かっこいいなー。

お客さんもやはり黒人率高かったです。サム(の中の人)の時も思ったけど、ほんとこれは日本にいるとあまり意識しないので、この人種構成ガラっと変わる感じは面白いというか、不思議な感じです。緩やかながら人種の境界線みたいなものを感じ、色々思うところもなくはないんだけど、とりあえず今はまあいいや。

 

でもそんなニューオリンズ市民の皆様もセインツへの想いは同じなようで、この日はお約束のごとく聖者の行進。この曲、あまりにベタ過ぎるのかジャズフェス以外では意外と聴けないんだけど、まさかの滞在中2回目。何だかんだ大好きな曲なので嬉しかったです。ただ、お客さんも「あ〜…」って雰囲気で、盛り上がる感じではなかったかな。音楽的にはかなりノリノリ(死語)なので、勝てば相当盛り上がったろうに。残念。

そうは言っても半分屋外のDenで、この日は結構気温も低くかなり寒かったんですが、とてもあったまる(くれぐれも「ほっこり」とかではない)ライブでした。

 

入り口にはこんな看板も。

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みんなどんだけセインツ好きなんや。