【蔵出し】Jazzfest 2010 - May 1 pt.1

【 素敵なヘンリー、ザリガニランチ 】

ジャズフェス3日目。
前夜のジガブーさまの余韻も醒めきってませんが、早くも後半突入です。


この日は出発前に友人ご夫妻と待ち合わせて、のんびりコーヒーなど飲んでから、3人で会場へ。
お2人はDirty Dozenを観に行く…とのことでしたが、私はちょっと迷った末、結局Henry Butlerを観ました。

このHenry Butler、アイヴァンに「man with six hands」と言われるほどの超絶テクニックの持ち主。
私は基本的に、技巧派のミュージシャンってそんなに惹かれないんですが、この人は数少ない例外です。
一昨年の来日で初めて観て、シリルさまを差し置いて視線釘付けになったくらい引き込まれちゃったのですが、最近ますます好きになってます。
きっかけや理由はいろいろあるけど、そのひとつがNew Orleans Social ClubのライヴCD。
ライヴ当日は聞き取れなかったMCが何度かCDを聴くうちにわかるようになってきたのですが、Henry ButlerのMCにちょっとびっくりしちゃったんです。大雑把に訳せば
「今日は、僕らの友達の誰それが観に来てくれてるから挨拶したいんだけど…いたら手を挙げて~そしたら見えるから…」
って。それを聴いて、背後でGeorge Porter Jr.らしき人が爆笑。

…いや~~。これって、笑っちゃっていいの??って思ったんですけどね。
たぶん、大丈夫なんでしょうね。
いや、もしかしたらHenry Butlerさまには本当に何か見えちゃうのかもしれませんが。。

そして彼はなんと、自動車の運転や写真撮影なんかもやってしまうらしいんです(もちろん、さすがに公道で運転はしませんが…)。
ご自身のウェブサイトでも写真や自動車運転の動画などが公開されています。


…えと、なんか。
すっごい魅力的じゃないですか???

私は「障害は個性だ」という表現には引っかかるものを感じてしまうし、ましてあまり軽々しく使うべきではないとも思うのですが、それでもHenry Butlerを(私の知る範囲で)見ていると、彼にとって目が見えないことは確かにハンディキャップというより、本当に「個性」なのかもしれないなぁ、などと思ってしまうのです。
もちろんご本人の心の中を知る術はないけれど、こういういろんな事実を知るにつれ、Henry Butlerという人がどんどん魅力的に見えてきます。
この人がテクニックもすごいけどそれだけじゃなく惹かれるのは、やっぱり人間性がにじみ出てるんだろうな~と、月並みだけど思ってしまいます。

いやもう、ね。
最近、私の中でヘンリーさま赤丸急上昇なんですよ。
声もすごくいいじゃないですか。太くて豊かで艶があって。
なんでも大学で声楽の学位を持ってるんだそうで。うーん、多才です。。

そんなHenry Butlerのステージ、この日も神がかりな素晴らしい演奏で、ソロ曲(まだあまり知らないけど…)ありスタンダードあり、お客さんをすごく盛り上げてました。
この人の演奏って、本当に気分を盛り上げてくれるんですよね~。なんかきらきらしてる。
ピアノを打楽器みたいに弾くんだけど、メロディ楽器ならではの表情の豊かさもしっかりあって。天才です。素敵。


その後は、ちょっとでいいからどうしても観ておきたかったJamil Sharifというトランペット奏者さん。
もう10年近く前だけど、初めてNew Orleansに行った時にこの人の演奏を聴いたんですね。
当時はNew Orleansの音楽のことなんてまるで何も知らなかったんだけど、まあ「ジャズ発祥の地」程度の知識はあったので、何となくそれらしい(?)お店へふらっと入ってみたのです。
よく解らないながらも古き良き陽気な音楽(=トラッドジャズ)が何だか楽しくて、ホテルからも近かったし2~3回続けて通ったら憶えられてしまったらしく、演奏後に声をかけてくださったのがそのステージのバンマスJamilだったのでした。
その時は母も一緒だったのですが、日本人の少ないNew Orleans、母娘で続けて聴きに行ってたので、目についたのかもしれません(笑)。
きっと向こうは私のことは憶えてないだろうし、ステージ上だったので当然声はかけられなかったけど、ちゃんと風貌や声にも覚えがあったし、何とも言えず懐かしい気持ちでしばらく座って聴いていました。
年配の方々が、ステージ近くのダンススペース?で、楽しそうに踊ってました。


続けてはRebirth Brass Band。
こっちはトラッドから一転、バンドもお客もすごいテンション。
彼らに限らずだけど、New Orleansのブラスバンドのパワーやグルーヴは半端じゃないです。若い人たちはヒップホップの要素を結構取り入れてることが多くて、これが楽しいしカッコいい! 踊らずにいられるか!みたいなね。
New Orleansにハマりながらもつい最近までブラスバンドを敬遠してた私、ホントもったいないことしてました。
まだお気に入りを見つけるには至ってないけど、ジャズフェスでもお目当ての人たちの合間になるべく積極的に聴きに行ったのもあって、ブラスバンドの音がだいぶ身近になりました。


そんな感じでノリノリで(笑)聴いてると、友人から電話。
実はこの日は、お昼ご飯に一緒にザリガニを食べよう!って話になってたのです。
落ち合ってフードコーナーでお皿たっぷりのザリガニをゲット。

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私は初挑戦で食べ方もわからないので、教えてもらいながら早速いただきます。
想像してたような生臭さはなく、甲殻類独特のダシとNew Orleansなスパイスが利いててなかなか美味しい! やや塩辛いけど、ビールとか進みそうな味です。
見た目は最初ちょっとギョッとしたけど、まあエビやカニと大して変わらないのですぐ慣れました。
食べながら友人から聞いた話では、New Orleansの家庭の冷蔵庫(や冷凍庫)には、大抵このザリガニが常にストックされているとのこと。Katirnaの時は、各家庭から流れ出て来た大量のザリガニの臭いがひどく、大変だったのだそうです。。
そんなNew Orleansのソウルフード、ザリガニを手をベッタベタにして平らげた後は、Cafe du Monde(なんと出店してます!)のベニエ(ドーナッツ)にカフェオレスムージー。う~ん、なんて不健康なランチ(笑)。
ま、たまにはいいでしょう。


そうこうしているうちに、ジャズフェス2nd weekend中、もっとも悩ましい時間帯(私にとって)が近づいて参りました。。

 

2018年雑感:

ザリガニ初体験。その後も何度か食べてますけど、いまだにあんまり上手に食べれません。

Jamil Sharifさんは今年もちらっと拝見しました。普段トラッドジャズはあまり聴かないんですが、なんか行くととりあえず(一方的に)ご挨拶したい気分になるのです。

そしてヘンリーさん…彼ももうこの世にいないなんてなぁ。寂しいです。