NCIS: ニューオーリンズ (S2E9)

Darkest Hour / 闇の中で

プライドの娘ローレルの幼なじみであるフランキーの携帯に、婚約者のニック・ベントン兵曹から電話が入る。もみ合う声が聞こえたあと通話は切れ、その後ニューオーリンズ中が停電に。フランキーはプライドのもとに相談に訪れ、プライドたちが携帯に残されたメッセージの背景の音をたよりに捜索を進めると……。(スーパー!ドラマTVサイトより引用)   

 

オープニングでフランキーのいたお店、「High C Note」という看板が出てましたが実在はしないようです。フレンチクオーターの夜景が見渡せるので、Algiers Point(フレンチクオーターの川向う、ミシシッピ川の曲がり角的な場所)あたりかな?とも思ったんですが、調べた限りそれらしいお店は見つからず。小洒落た雰囲気だったので、クルーズ船かもしれません。(それか、Algiers Pointでは秋にWednesdays on the Pointというライブイベントがあるらしく(今年はHoney Island Swamp Bandが出てたんだ!)、オリジナルの放送時期も秋なので多少意識してたのかな? あくまで推測&妄想ですが)

 

婚約者ベントン兵曹からの不穏な電話に停電、どうしたものかと他に頼るあてのないフランキーはキングを訪ねます。彼女はローレルの幼なじみで、ベントンとの出会いのきっかけもキングが連れて行った海軍のバースデーパーティーだったそう。決して裕福でない母子家庭で父を知らずに育ち、母も亡くなった彼女にとってベントンは唯一の家族になるはずの人。キングが彼女の携帯を充電したところベントンから「君にないものをあげたかったけど、もうダメかもしれない」と留守電が入っていました。パットンが停電の中どうやったのか留守電の音声を分析すると、橋の上を走る電車の音が。ジェファソン郡で電車が通っている橋はHuey P Long(これはホントにジェファソン郡にあって、線路も走っているらしい)だけだということでキングたちが駆けつけると、ベントンの撲殺された遺体が見つかりました。

近くにいた怪しいホームレスを尋問してラサールがたちが行ったお店、Gargoyle Clubも実在しないようですが、演奏していたバンドはHot 8 Brass Bandかな。あまりブラスバンドは詳しくないんですが、サイリウムで8の形を描いたりしてたし多分そうだと思います。授賞こそ逃しましたが、2013年にグラミー賞にノミネートもされた、ニューオリンズブラスバンドです。ブラスバンドは電気なくてもライブできるのでいいですね。

 

ベントンと揉めていたというGargoyle Clubの用心棒デクランの家に行くと、ベントン殺害の凶器らしきボルトカッターと変電所の地図が。ベントンの事件と停電は関係ありそうだということで、変電所へ向かいます。

ちなみに停電はAvondale 12th Street Power Substationでまず起こり、その他の変電所が過負荷になってドミノ的に市全体が停電になったようです。日本でもわりと最近、北海道で似たようなことがありました。Marigny and Bywater、Central City、Garden Districtと、ミシシッピ川沿いに北東→南西へ停電していったようです。ただ、変電所は12th StってことはCentral Cityが一番近そう。そしてAvondaleというのはジェファソン郡内の地域名なようですが、12th Stからはだいぶ離れています。まあ大抵の人にはどうでもいい話ですね。

 

変電所の電線が凶器らしきカッターで意図的に切られており、本来はその地区だけ停電させたかった模様。そのエリアには高級品を保管する倉庫があって、停電でセキュリティが機能しない間に200万ドル相当ものアンティーク家具が盗まれていました。家具の持ち主は5代続く地元の名士、ゴードン・フォンテインのものでした。ゴードンは最近亡くなり、現在は妻シーラと息子トビーが残っています。この豪邸、ブラッド・ピットサンドラ・ブロックなどのセレブも別荘を持つGarden Districtでしょうか。もう少し郊外っぽくも見えたけど。

ともあれ、ベントンは停電を引き起こして家具を盗み、貧しい暮らしをしてきたフランキーに「君にないもの=お金」をあげようとしたのか、と疑いが出てきてしまいます。しかもその後デクランの遺体まで出てきて、仲間割れか?と、ますます怪しくなる。

 

ここから先は特にご当地ネタないので端折りますが、結論から言ってベントンはもちろん犯人ではなく、彼がフランキーにあげようとしていたのは「家族」だった。彼女はゴードン・フォンテインの隠し子だったのです。彼はメイドとして働いていたカミラ(フランキーの母)と恋に落ち、フランキーが生まれた。世間体のためにゴードンはシーラとの結婚を継続したが、カミラと密かに手紙や写真のやり取りは続けており、コレクション家具の隠し扉に残していた。フランキーは、母カミラから聞かされた父親の話を「お伽話」と思っていたが、心の片隅でそれを信じていたのか、ベントンにも話していた。ベントンはそこから父親のことを調べて、フランキーに「サプライズ」として教えるつもりだったらしい。正直これを聞いたとき、「うーん、これって一歩間違えたら色んな意味でめちゃくちゃ『大きなお世話』では…」と思ってしまったんですが、案の定というかなんというか、ゴードンの息子トビーは、隠し子が明るみに出れば遺産の取り分少なくなる!とばかりにベントンの計画を阻止しようとします。デクランと協力して停電を起こして家具を盗み、でも結局手紙は見つけられずベントンを尾行してる際に見つかってしまい殺害したのでした。トビーはフランキーをも殺そうとしますが、NCISチームが無事救出します。ちなみにゴードンはBONESのウェンデルくん(の中の人)でしたが、今回はBONESで恋人役だったパーシーに銃突きつけられてました。そしてウェンデルくんはフランキーのように貧しくも清く正しいいい子だったのに、トビーはまさに「金持ちのバカ息子」って感じ。まあ父親もなかなかアレですが。

 

最後はどうにか電気も復活。ここでうっすら流れていたのはタブ・ベノワ(Tab Benoit)の”Darkness”という曲です。

Darkness

Darkness

  • Tab Benoit
  • ブルース
  • ¥150
  • provided courtesy of iTunes

ルイジアナ州出身のミュージシャンで、ルイジアナの湿地帯保護のためにVoice of the Wetlands All-starsというバンドで活動もされています。このバンドは彼以外にもシリルさまやJohnny Vidacovich、Big Chief Monk Boudreauxなど錚々たるメンバーが参加されており、普通にめっちゃかっこいいファンクバンドです。

 

停電中の捜査といえば本家でもそんなエピソードがあって、あの時は徹夜で指紋照合したりしてたけど、今回はパットンの謎の裏技チートとかもあり、あんまり捜査の苦労は前面に出てませんでした。理科の実験みたい!と張り切るセバスチャン可愛かったです。いつも可愛いけど。そして相変わらず喋り過ぎてキングとロレッタに無視されちゃってるけど! 

そして最後、孤独になったフランキーとシーラをキングが会わせるシーンがあったけれど、どうなんですかね。なんかいい話っぽくなってたけど、正妻と不倫相手の娘ということで今後も上手く行くのかはちょっと疑問というか不安というか。フランキーに罪はないしシーラも被害者なのですが、気持ちの上で割り切れるもんなのかな。。