NCIS: ニューオーリンズ (S2E7)

Broken Hearted / 心臓の行方

衛生兵ボールドウィンとモットが何者かに殺害される。犯人の狙いはモットのアクセスカードで、カードを使って移植用の心臓が奪われるが、乗り捨てられた救急車から銃弾で撃ち抜かれた心臓が見つかる。移植予定だった民間人ピンゾンの仲介役として、国防高等研究計画局からやって来たのはメレディスの母オリヴィアだった。(スーパー!ドラマTVサイトより引用)   

 

ママ・ブロディことオリヴィア・ブロディ初登場。ブロディが母を迎えに行ったのはアームストロング国際空港(Louis Armstrong International Airport)です。DARPAで働いてるママ・ブロディ、極秘任務でニューオリンズに出張に来たようです。しかしブロディに届けられた謎の写真や双子姉妹の死の疑惑の話をしてもリアクションは薄めで、母娘関係はあまり良好とは言えなさそう。親子間の確執的な話はNCISのお家芸ですかね。

 

ところで冒頭の事件現場の家は、この塔が映っていたのでBelle Chasseですね。

f:id:crescentagency:20180815190816p:plain

ボールドウィンとモットが勤めていたNaval Branch Health ClinicもBelle Chasseにあるようです。通報は911ではなくこの病院に直接され、ちょうど夜勤中の2人が駆けつけたのですが、その家は3ヶ月前から無人だった。更にモットの身分証が奪われていたことから、犯人の狙いはこの身分証だったと思われます。こんなことのために2人も殺すとか怖すぎる…。しかもモットになりすました犯人は、病院から移植用の心臓を盗み出し、輸送したドライバー達まで殺してしまい、そこには銃で撃ち抜かれた移植用の心臓が。Shot through the heartってことでパーシーが「Bon Joviの歌みたい」と言ってキングに不謹慎だとたしなめられてました。You Give Love a Bad Nameの出だしの歌詞ですね。

この心臓のレシピエントは一体誰かと調べたところ、ピンゾ(PinZ0)ことMax Pinzonという青年でした。ピンゾはIQ160の天才で、DARPAのサーバーへハッキングしたことで逆に雇われたという、Scorpionのウォルターみたいな感じですね。先天的な心臓疾患を持っており、かつ特殊な血液型だが、この度Ochsner Medical Centerルイジアナ州内に幾つかある病院らしい)でドナーが見つかったため手術のためにバージニアからニューオリンズに来たとのこと。で、彼を雇った責任者がママ・ブロディ。極秘任務とはピンゾの手術だったのでした。ピンゾの開発しているプログラムが完成すると、闇ウェブでの取引のほとんどを阻害でき、テロリストを潰すことができるそうで、この任務を邪魔したい者が犯人ではないかと疑われます。

とはいえドナーが現れ、心臓が移送されるスケジュールなどを犯人はどうやって知ったのか。移植コーディネーターを訪ねると、彼女のアカウントからスケジュールを盗み見たと思われるIT担当者ウォルトンがタイミング良く病欠。彼の車をGPSで追ったところIndustrial Canalに沈められており、トランクからはウォルトンの遺体も発見されます。このIndustrial Canal、過去のエピソードでも時々登場するもののGoogle Mapでは出てこないので少し調べてみたところ、正式にはInner Harbor Navigation Canalというそうで、ミシシッピ川とポンチャートレイン湖を結ぶ運河でした(Industrial Canalは通称)。Gentilly地区とNew Orleans East地区の境界線でもあるようです。

f:id:crescentagency:20181118210853p:plain

この地図の真ん中を縦に走っている水路ですね。

 

しかもDNA鑑定したところ、撃ち抜かれていた心臓は移植用ではなくウォルトンのものでした。移植用の心臓とウォルトンの心臓がすり替えられていたらしい。つまり移植用の心臓はまだ別の場所にあるのではということで、絶望的と思われていたピンゾの移植手術に再び希望がでてきます。とはいえ心臓が移植に耐えうる状態でいられるのはせいぜいあと7時間。ここからは時間との戦いです。

移植希望者のリストや臓器を扱う闇ウェブなどを探して見つかったのがトーマス・ドーランというFBIのお尋ね者。3年前に心臓病と診断され、血液型もピンゾと同じ。ドーランがピンゾの心臓移植を嗅ぎつけてウォルトンの心臓とすり替えて盗み出し、自分の治療のために使おうとしていたと思われます。手術のためにSt. Charles Hospitalに勤務するゲイトリー医師を誘拐し、機器は闇ウェブで調達。機器の使用のためには安定した電圧が必要ということで、TerrytownにあるLafayette Memorial Hospitalという病院跡だろうと特定されました。この病院、閉鎖されたということで実在はしませんが、よく似た名前の病院(Lafayette General Medical Center)はルイジアナ州ラファイエットにありました。キングたちが駆けつけて犯人たちを制圧、ゲイトリー医師は銃で脅されてドーランの手術をしたものの既に脳死状態だったので、ドーランの身体ごとヘリで緊急搬送されてピンゾの手術が急遽行われます。ピンゾのいた病院はStewartson Naval Hospitalという看板がありましたが、ここは実在しないようです。

そしてこのシーンでずっと流れていた音楽はThe RevivalistsのSoulfight。

Soulfight

Soulfight

  • provided courtesy of iTunes

 

こちらはHouse of Bluesでのライブ演奏の映像。

youtu.be

The Revivalistsは2007年にニューオリンズで結成されたロック(オルタナロック?)バンドです。いわゆるニューオリンズっぽいサウンドではないため私もあまり詳しくないんですが、ここ数年は全米規模でかなり人気なようで各地でツアーをしています。今年のジャズフェスではGentilly Stage(2番目に大きいステージ)で演奏していましたがすごい人でほとんど観れませんでした。

この曲はドラマのシーンにもすごく合っていたし、ニューオリンズのミュージシャンの音楽をがっつりと流してくれたのも嬉しかったです。

 

しかし結局心臓の状態は悪く手術は失敗、ピンゾも亡くなってしまいました。パットンの落ち込みようが見てて辛かったです。上記には詳しく書いてませんが、パットンとピンゾは事件解決に向けて協力したり、ギリギリの状況のはずなのにジョークを飛ばし合ったりととてもいいコンビでした。身体に不自由を抱えながらもコンピューターに楽しみや生きがいを見出すピンゾに自分を重ねていたのでしょう。自分が車椅子になった理由をピンゾに何度も尋ねられていたものの、「身体を言い訳にして欲しくない」ということで最後まで明かさなかったのですが、何らかの事故ではあったようです(キングだけは知っている様子でしたね)。彼が車椅子であることは今までドラマの中では一切触れられておらず、「そういう人」としてごく自然に溶け込んでいたので正直特に気にしたことはなかったのですが、今後のエピソードで明らかになるのでしょうかね(ちなみに演じている俳優さん(ダリル・チル・ミッチェルさん)ご自身も実際に車椅子の使用者です)。

パットンは(ピンゾのために)できることは「ほぼ全て」やった、と言い、彼のやり残したプログラム開発の画面に向かいます。パットンがピンゾの仕事を引き継いでプログラムを完成させた、みたいなエピソードが将来的にあったらいいのになぁと思いました。

 

ママ・ブロディのキャラクターも悪くなかったし、娘メレディスとの確執も気になるところではありますが、今回は最後にRevivalistsとパットンに全部持って行かれて印象が薄くなってしまったのがちょっと残念です。あと、移植のために残されたわずか7時間の間にDNA鑑定やら手術に必要な道具集めやら病院の特定やら、詰め込みすぎてちょっと現実感がなかったですが、まあドラマですからね。。

とまあ突っ込みどころもありつつも、全体的にはとても好きなエピソードでした。