NCIS: ニューオーリンズ (S1E9)

Chasing Ghosts / 掘り起こされた真実

警察から逃亡中に死亡した窃盗犯。男が所持していた銃は海軍支給のものだったことからNCISが捜査をすることに。消されていた銃の製造番号を復元し、ジェイコブ・ターロウ兵曹長のものと分かる。だが彼は40年前に死亡していて、検死官ウェイドが集める未解決事件のファイルの最初のものであることが判明する。(スーパー!ドラマTVサイトより引用) 

 

感謝祭エピソード。ようやく番組のカラーみたいのが見えてきたかな。ロレッタ素敵でした。

冒頭はフレンチクオーターでのパレード。ニューオリンズはホントにいつでもパレードやってるんだなぁ。窃盗犯が転落した場所は、El Gato NegroTyler's Pride Produceの看板など見えていたし、French Marketの近くですね。パイロット前編の終盤でもこの辺がロケ地に使われてました。

小さな街で毎回都合よく海軍関係者が殺されるのもアレだし…ってことで趣向を変えてきたのか、今回は被害者が所持していた盗品類から海軍支給の銃が出てくるという展開。持ち主は40年前に死亡したジェイコブ・ターロウ兵曹長、ロレッタがインターン時代にかかわった未解決事件の被害者でした(ただし「未解決」というのはあくまでロレッタの見解。当時警察はろくに捜査をせず自殺と片付けていた)。ロレッタはジェイコブの妻ハンナと交流を続けており、末期の肝臓癌を患うハンナに事件解決を約束します。

ロレッタはハーバードからLSU(ルイジアナ州立大)へ編入?転入?した設定でしたが、もともとは西海岸に行く予定が、この事件が心残りなこともあってニューオリンズにとどまったんですね。40年前に20歳てことはちょうど還暦くらい? 20歳でメディカルスクールのインターンって随分若い気がするけどそういうもんなのか、彼女が優秀だったのか。

 

事件現場の写真は「奇妙な果実(Strange Fruit)」を連想させるもの。ジェイコブが黒人を軍に入隊させたユダヤ人で、当時それを面白く思わなかった人も多かったことからヘイトクライムが疑われます。ジェイコブのお墓を掘り起こそうとしたシーンでは、ロレッタが「奇妙な果実」の歌詞をつぶやき(Southern trees bears a strange fruit...)、ローレルが後を続けていました(ていうか、お墓の掘り起こしに無関係な一般人を立ち会わせていいの? キングが公用車には規則でローレルを乗せられないとか言ってたけど、こっちの方が問題なような…)。

youtu.be

ところでローレルですが、感謝祭のため帰省中。ボーイフレンドのオライオンを連れてきたものの、キングが歴代彼氏と仲良くなりすぎて毎回おかしな展開になってしまうので今回も会わせるのを心配しています。ローレルのセリフ、"You brought Barry to Jazz Fest"で字幕が「ジャズフェスタ」となってたけど、ここは「ジャズフェス」として欲しかったな。。(Jazz FestとはNew Orleans Jazz & Heritage Festivalの略称。毎年春に行われる、市内最大の音楽フェスティバルです)

案の定キングとオライオンは仲良くなってしまい、機嫌を損ねたローレルがオライオンを追い返すものの後悔、結局はキングの機転でハッピーエンド、って感じでしたけど。

 

お墓の掘り起こしは土壇場で裁判所から禁止令が出たため断念、被害者(窃盗犯)のズボンに付着していた物質から銃の出所を追います。特定されたブリック・マイヤーズの自宅住所は540 Desire Stとなってましたが、架空の住所なようです。ただし、Desire Streetは「欲望という名の電車(Streetcar Named Desire)」で有名な路面電車がかつて走っていた通りで、今も実在します。ラサールとブロディが盗品を返しに行ったBywater地区内にあるので、被害者はこの一帯で盗みをはたらいていたのでしょう。

ジェイコブが首を吊ったロープの分析結果によりマイヤーズは容疑者から外されますが、当時彼に銃を売ったT-Boneと呼ばれる警官、なんとハミルトン父でした。ちなみに、過去の事件ファイルがKatrinaで流されてなくなってしまったというのはニューオリンズでは実際に結構あるんでしょうね…。

さてハミルトン父、キング父子と色々因縁がありそうです。キングの父はカシアスという名で、現在投獄中ということも判明。お墓掘り起こしの禁止令も、父への疑惑をそらすためにハミルトン息子が手を回したようでした。結局DNA鑑定で父の疑惑は晴れ、お墓の掘り起こしも許可が下りる。そして最終的に、この事件は自殺でないのはもちろんヘイトクライムでもなく、犯人はジェイコブの親友で、彼の死後もハンナを見守り続けていたポールだと判りました。ハンナ、"mistake"とはいえ彼氏の親友と浮気はいかんでしょ…とも思うんですが、代償が大きすぎました。病身にこの現実は辛いよなぁ。

そういえばお墓のシーン、いわゆるニューオリンズの墓地ではなかったけど、これは彼らがユダヤ教だからなのかな。

 

最後の、40年で世の中が大きく変わったことに気づかされた(でもまだやるべきことはある)、という内容のロレッタのセリフがよかったです。彼女自身も人種や性別などを理由に苦労してきたのだろうし、ニューオリンズはリベラルな街ではあるけど、人種による所得の差も大きく差別も完全になくなったわけではない。とはいえ、確実に良い方向には変わってきているはず。こういうエピソードは、DCでもLAでもなくニューオリンズが舞台だからこそリアリティや深みが出てくるなぁと思いました。感謝祭ネタは特にローカル色なかったので完全にスルーしましたけど、NOLAチームのファミリー感が出ていてなかなか良かったなと。相変わらずオフィスの私物化がすごいですけどね…。