NCIS: ニューオーリンズ (本家S11E18)

Crescent City (Part I) / ニューオーリンズ支局 [前編]

 ニューオーリンズマクレーン議員の死体が発見される。彼が元NIS捜査官だったことから、NCISニューオーリンズ支局のプライド捜査官、通称“キング”はDCを訪れ、ギブスとヴァンスの協力を求める。ギブス、プライド、マクレーンはNIS時代にフェド5として活動しており、連続殺人犯ヴィクター・ロータの逮捕に尽力した経緯があった。しかしマクレーンの遺体がFBIに奪われてしまい、NCISの捜査は困難を極める。(FOX Japanサイトより引用)

 

 2014年からアメリカで放送が始まったNCIS: ニューオーリンズ
もともとNCISシリーズが大好きで本家もLAもずっと観ていた私にとって、ニューオリンズでのスピンオフが始まると知ったときの喜びたるや。最初の頃はいつキャンセルになるかとハラハラしながら見守っていましたが、これを書いている時点では幸いS5の放送が決定しています。私はSeason 1の途中くらいからロケ地を特定したり字幕や吹き替えで拾いきれないご当地ネタなどを拾ったりして楽しんでいますが、最初の方はあまりその辺は意識していませんでした。なので、あらためて過去放送を観直しつつ、ロケ地やご当地ネタを順にまとめて行きたいと思います。

なお、ネタバレにはあまり配慮していませんのでその点ご了承ください(S3まで観終わっているため、「今になってみれば…」的なコメントもあり)。そしてロケ地探しとご当地ネタ拾いがメインなので、事件解決の要であっても完全にあらすじをすっ飛ばすことは多々あると思います。あと、もしも間違いなどあればご指摘大歓迎です。

 

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まずはパイロット版。本家NCISのSeason 11で、DCとニューオーリンズ支局の合同捜査という形で2話にわたってお披露目されました。その前編。

あらためて観るとご当地ネタが満載で、「ニューオリンズという街の紹介」的な要素がかなり強いですね。

 

冒頭の演奏はThe Gumbo Brothersによる"Keep It Raw"だそう。

Keep It Raw

Keep It Raw

  • The Gumbo Brothers
  • R&B/ソウル
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

どうやらカリフォルニア拠点のバンドなようですが、あまり詳しいことはわかりません。ここは地元バンドを出して欲しかった…。

キングがリンダと「ロールプレイ」の後、川(Mississippi River)で日の出を見て朝食を食べようと誘った店はElizabeth's。Marigny地区の川沿いにあるレストランで、朝ご飯メニューもちゃんとあります(この番組、こういうところが結構リアル)。しかしキングが指輪してるの、今見るとなんか新鮮。
 →(ちなみに、その後のエピソード(S1E1)でリンダの住まいはLower Garden Districtなのが判明。レストランまで結構距離あるよなー。)


続けてはフォーネルのセリフ!
まずはジャズフェスに行ったって、ちょっと何それ詳しく聞かせてもらえませんか。
とはいえMother'sで朝食、Commandar's Palaceで夕食ということなので、ガチで終日フェスやライブを楽しむ音楽ファンという感じではないんでしょうね。なお、Commandar's Palaceはこの後もしばしば登場します。

ジャズフェス行くと、特に音楽を熱心に聴くでもなく食べたり喋ったり寝そべったりしてる人たちが結構いて、ガチ勢な私は不思議で仕方がないのですが、フォーネルもその中の1人のような気がします。
そして今からでもParkwayでOyster Po Boy食べたい!というフォーネルのセリフを受けてキングが紹介したのがCentral Groceryのマファレッタ(マファレッタとは、ニューオリンズでイタリア移民によって作られたサンドウィッチの一種)。住所見る限り、知らずに何度も通りかかってるぽいな。キングお勧めとあれば、次の旅行では是非行かないと。

そしてDCでFrench QuarterとTreme(世界初のゲットーなどとも言われるトレメ地区。ロレッタ・ウェイド先生在住!)の防犯カメラをチェックしていたマクギーが、マクレーンを発見したのがHotel Monteleoneの回転バー。フレンチクオーターにある老舗ホテルです。ここ、この後ドラマで何度も登場するおなじみロケ地なんですが、すでにパイロットから登場してたんですね。すっかり忘れてた。

再びニューオリンズ。FBIのドイル捜査官がコーヒーとベニエを楽しんでいたのはCafe du Monde。ここはニューオリンズの旅番組などでもほぼ毎回紹介される、超定番観光地です。しかしドイルは地元民という描写はないものの現地に長く住んでるっぽい。そんな人がここでお茶なんてするのかな…と疑問に思うくらいには超観光地です。まあ、ニューオリンズのお披露目ってことで。

ギブスの家でキングが作っていたのはRed Beans & Riceというクレオール料理(この辺私はあんまり違いがわからないのだけど、Wikipediaによるとケイジャン料理ではないそう)。フォーネルが"Must be Monday"と言ったのは、ニューオリンズでは伝統的に月曜日に食べられる料理だからです(フォーネルなかなか詳しい)。その昔、月曜日は「洗濯をする日」だったのですが、洗濯機がない時代は結構な重労働だったので、その分料理は手を抜いて、材料を鍋に入れっぱなしで完成するRed Beans & Riceを食べるのが習慣になっていたそうです。見た目は赤っぽいけど辛くありません。ブラジルのフェイジョアーダみたいな感じかな。

キングがアビーの叔母さんにあげたというキャンディはRoman Candyのものでしょう。アビーはニューオリンズ出身という設定(というか、演じるポーリー・ペレットさんの出身地でもある)なので、今後もそちら方面のエピソードが何度かでてきます。

そしてブロディが遂に登場し、Speakmanの甥への取調べを終えて、ラサールに「夕ご飯ご馳走さま」と歩いているシーン。ラサールが「ここでまさにキングに会ったんだ」と話していたのはUptownにあるSt. Charles AvenueとSixth Streetの交差点。背後にSt. Charles Streetcar(緑色の路面電車)が走るシーンはとてもニューオリンズっぽくて素敵でした。

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この後のエピソードでも少し出てきますが、プライドのあだ名は、地域の麻薬組織を一掃した功績として、Rexという非常に由緒あるクルー(Krewe。マルディグラと呼ばれる地元のカーニバルでパレードを行う組織)の「キング」に例外的に抜擢されたのが由来だったのですね。ちなみにRexとはラテン語で「King」を意味するらしく、RexのキングはまさにKing of the Carnival、なんだそう(ただ、この辺の知識は私もあまり詳しくないので間違っていたらごめんなさい)。Rexネタは今後のエピでも出てきますが、Rexって富裕層白人のクルーというイメージなので、キングもそういう家柄だったのかな?と思ってたけど、パイロットで種明かしされてたとは。やはり字幕に収まらないネタは全力で聞き取って&スクリプト確認して拾っていかないとですね。

なおこのロケ地、Speakmanの甥がタトゥーを入れていたというCarondelet Streetからも1ブロックしか離れていないため、アリバイ確認の帰りといったとこでしょうか。なにげにリアルに作りこんでます。

シーンが変わってドイルが殺されてしまう。彼女が出てきたBroken Henry'sというバーは架空のようですが、場所はここ。

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French Quarter内、St. Ann StreetとBurgundy Streetの角地です。ところでSt. Annといえば、NCISNOLAオフィスがある通り。現場まで数ブロックなのですぐ駆けつけられますね!

キングがギブスとビショップをオフィスに案内したシーンで、道路でパレードしていたのはTrema Brass Band。来日したこともある老舗ニューオリンズブラスバンドで、今後も何度かドラマに登場します。パレードを見たビショップが「毎日こんな感じなの?」と驚いてましたけど、まあ毎日とは言わないまでも特に驚く光景ではないです。キングが「死をも祝う」と言っていたのは、いわゆるジャズ葬、音楽葬などとよばれるお葬式を意味してると思われます。ちょうどこのシーンでTreme Brass Bandが演奏していたのも"Just the closer walk with thee"という賛美歌だったので、お葬式帰りのパレードだったのかも。(なお、S2E20でこのニューオリンズのお葬式について少し詳しく書いています。ネタバレが気にならない方はよかったらこちらもどうぞ)

そしてアビーからの連絡で、ドイルの車のマットに「ポップコーン、ジャンクフード、鳩の糞」があったことから、犯人はこれらが全部揃ってる場所から来たはず、と。そして向かったのがFrench Market。人が少ないのでだいぶ雰囲気違いますが、最後のシーンはまさにこの場所です。

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French Marketはアメリカでもっとも古い市場と言われています。食材やスパイス、お土産物、衣類などなど色んな物が売られており、ちょっとした食事も可能です。しかし3つのヒントを聞いて、キングとラサールがニヤッと顔を見合わせてたけど、これだけでFrench Marketって特定できるもんかなー。鳩もそこらじゅう飛んでるし、ジャンクフードもいたる所で食べられるし。

…とまあ、久しぶりに見てみたらご当地ネタ盛りだくさんでびっくり&楽しめました。
初回だし、街の紹介のために気合い入れて詰め込んだのでしょう。

しかし今見るとキングはオフィス散らかし放題、被疑者に暴力と、結構キャラが違いますねー。優秀だけどold schoolな、南部の荒くれ捜査官的な設定だったんですかね。


(写真はすべてGoogleストリートビューよりお借りしました。ストリートビュー、ロケ地特定の必須アイテムです。)