Jazzfest 2018, May 4 #4

夜の部は遂に、Honey Island Swamp Band! ジャズフェスではシリルさまと丸かぶりという非情なタイムテーブルだったので、ようやく今夜お目にかかれます(涙)。4年ぶり! チケットも早々に予約してたし、全力で観るよ!!


場所はCafé Istanbulという、アラブ系のコミュニティセンターとかが入っている不思議な雰囲気の建物の一角で、ちょっとエキゾチックで素敵なお店でした。ちなみにここのお店はジャズフェス期間中ほぼ毎晩夜のショーを開催してたようですが、その企画者が最初に挨拶して、「今回の一連のショーはすべてCharles Nevilleにささげます」と言ってました。彼もこのお店で何度も演奏したことがあるそう。

f:id:crescentagency:20180605153054j:plain

場所がわかりにくく見つけるのに苦労したけど、一旦入ってしまうと居心地良い空間でした。

 

しかしHoney Island Swamp Band。名前からしてセンスを感じて素敵じゃないですか。
勝手に解説しておくと、2005年にKatrinaで被災してSan Franciscoに避難したメンバーが現地で結成したのが始まりです。最初はAaron Wilkinson、Chris Mule、Sam Price、Garland Paulの4名だったのが、後ほどTrevor Brooksが加入したもよう(最近は彼の代わりにChris Spiesが入ることも多いみたいですが、脱退したわけではなさそうです。たぶん)。クリスミューレおじさんは、過去にEric LindellやLynn Druryのバックをつとめたり、New Orleans JuiceというバンドでCDを出してたりしてます。最近はChris Mule and the Perpetratorsというバンドやソロ活動などもやっていてなかなか精力的。サムおじさんはOtraというラテン(というかキューバ系)バンドや、最近はSam Price & the True Believersでも活動しています。他のメンバーは過去の活動含めてほとんどわかりません(後述のようにサポート?のChris Spiesさんは他のキャリアがあるようですが)。とりあえず、アーロンおじさんはPensacola出身でニューオリンズ在住暦20年くらいだそうです。クリスミューレおじさんとサムおじさんはルイジアナの人だったはず。

いずれにせよHISBとしては結成10数年となり、そこそこ息は長いわりに、残念ながら日本での知名度は今ひとつかなぁ。私の知る限り、ニューオリンズファンでも結構コアな人以外からはあまり聴かれていない印象です。アメリカ各地はもちろんヨーロッパへも時々ツアーに行ってるようなので、いつか日本含めたアジアにも来て欲しいです。切に。

 

音楽的には、いわゆるど真ん中のニューオリンズサウンドではないので、たとえばProfessor LonghairやAllen Toussaint的なピアノとか、Metersや各種ブラスバンド的なリズムとかを期待するとちょっと違うな…となると思います。ただ、その分逆に間口が広いというか、The BandとかLittle Featとか好きだったらハマると思うんだけどなーとずっと思っていたところ、オフィシャルサイトによると、新譜は「Think The Band’s Big Pink album and add a splash of hot sauce with Willin’ by Little Feat – this group of New Orleans vagabonds nails it.」と評されていたようで、「やっぱり!!!!」てなりました。
まぁ、人さまの言葉を借りてばかりでも仕方ないのでもう少し私なりに説明してみると、ニューオリンズの音楽はしばしば「ガンボ(ごった煮)」と評されるのですが、そういう意味では彼らの音楽はニューオリンズだからこそ生まれた素晴らしいミクスチャーの賜物、と感じています。
クリスミューレおじさんのスライドギターとか、アーロンおじさんのハープやマンドリン、サムおじさんのラテンフレイバーとかが絶妙な感じに混ざり合ってて、そしてニューオリンズならではファンクっぽいリズムもしっかりあって、ありそうでなかった、「こういうの聴きたかった!!」という音楽に仕上がっています。個人的にはカントリー要素が入っているのがすごくツボですね。まあ御託はいいからとりあえず聴いてみて!なんですが。

 

それからメンバー、特にフロント3名の見た目のインパクトというかキャラも好きすぎる。
なんていうか、南部のダサいおじさんを全力で体現していて、実に愛おしいのです(ほめてます。The Bandの話ばかりですみませんが、彼らの2ndアルバムのジャケ写的な愛らしい感じです)。
トゥーサンやネヴィル的な派手さ奇抜さはないけど、思わず無駄にファッションチェックしたくなる愛すべきダサファッション。
リーダーのアーロンおじさんは、俳優クリス・オドネルにもちょっと似ていてよく見るとわりとイケメン。なのにダサい。
ギター・ボーカルのクリスミューレおじさんは、さらさらの長髪でよく見るとかわいい。そしてダサい。
ベースのサムおじさんは、バンド随一のキャラ立ちで、ダサいとか超越している。
唯一の綺麗どころな鍵盤のトレバーくん、この日は不在でしたが、代わりに入ってるクリスさんもキュートなおじちゃん。たぶんいちばんダサくない。
ドラムは…ガーランドさん。。本来なら私が一番注目してしまうドラマーさんが普通すぎてキャラが霞んでしまう…いや、十分素晴らしいんですよ。この人のドラムがあるから、前のおじさんたちが安心して濃ゆいキャラ全開でやってられることは間違いないので。(しつこいけど、全員全力で褒めてます)

ちなみに、正規メンバーは5人ですが、今回はジャズフェス仕様だからかホーンX2とパーカッションX1を加えた8名体制。なんと、全員髭面! ムサい! かわいい! 愛してる!
サムさんがオーバーオールじゃなかったのが残念でしたが、ビーサンで登場して1曲目の途中から脱ぎ捨てたまま最後まで裸足と、期待を裏切りません。
残りのフロント2名も胸毛チラ見せファッション。そのサービスたぶん要らない。でも私は嬉しい。
どこを切り取っても愛らしいんですけど、個人的には特に、大好きなJosephine聴けて「ああ、ニューオリンズ来てよかった…」でした。

 

終演後はミーハー全開でアーロンおじさんとサムおじさんと写真撮ってもらいました。サムさんはステージ上の強烈なキャラとは違って口調も雰囲気もす~ごい紳士。あのギャップはズルい。惚れる。アーロンさんは慣れ慣れし…じゃなくてすっごいフレンドリー。 あのイケメンに人当たりの良さなら初対面でいきなりハグされても許せちゃう(まあ地域性か国民性なのか、ニューオリンズでは初対面でハグされることはわりとよくある。だいぶ慣れたけどやっぱりちょっとびっくりする日本人…)。ジャズフェス終了後のライブスケジュールを知りたかったのでお尋ねしたところ、残念ながらツアーに出ちゃうということでしたが、翌日もTipitina’s出るよ!とのことだったので(うん、知ってた!)「明日も必ず行くよ! 物販でバンドTシャツ買ったからそれ着ていくよ!」とお返事しておきました(言われなくてもそのつもりだったけどね!)。
ちなみにサポートなのか正式なのか不明のクリスさんですが、Matador! Soul SoundsというSouliveとNew Mastersoundsの人たちがやってるバンドでフジロックに来たことがあるそうです(とご本人はおっしゃってたんだけど、いくら調べても記録が出てこないので、別のバンドと混同されている可能性も…)。とてもソウルフルなキーボードを演奏される素敵な方でした。そして可愛い。

 

なんせあれです。Honey Island Swamp Band、ここ4~5年ほど個人的に推しまくってます。これが目に留まって少しでも気になった方がいらっしゃったら、オフィシャルサイトからも試聴できるしYouTubeにもライブ映像たくさん上がってるので是非チェックしてみてください。そして音楽関係者の方やそっち方面に繋がりのある方でうっかりここまで読んでしまった方、もしいらしたらいきなり単独公演とは言いません、フジロックとか朝霧とかサマソニとかなんかその辺のフェスのラインナップの片隅でもいいので招聘を是非ぜひ検討していただけると嬉しいです。ラスト・ワルツのリマスター全国公開がこれだけ盛り上がってるんです、この手の音楽、需要あるはず。何ができるかよくわからないけど実現のためにもし私にできることがあれば何だって協力させていただきますので!

f:id:crescentagency:20180605153408j:plain

メンバーを愛で、音楽を聴くのに夢中すぎであんまり写真撮れんかった。