New Orleans, January 2019 #11

半ば思いつきと勢いで行動起こしてみたらとても楽しい経験ができました、という話です。

 

■ OffBeat

OffBeatのサイトで通販しているグッズ(ステッカーやTシャツなど)が欲しいなあとずっと思ってたんですが、日本までオーダーすると結構送料もかかりそうだし、ニューオリンズに行ったら買おう、でもどこで売ってるんだろう?と思っていました。移転後のLouisiana Music Factoryの上のフロアにオフィスがあることはもちろん知っていてずっと気にはなっていたので、ダメ元で行ってみることに。

ちょっと緊張ぎみに訪ねるとお姉さんが迎えてくれて、ステッカーとTシャツ欲しいんですけどここで売ってますか?と訊いたら、ある男性(ジョゼフさん)を呼んでくれました。ジョゼフさんに日本から来たこと、OffBeatのサイトで売ってるグッズが欲しいんだけどちょうどニューオリンズを訪問中なのでよかったら売って欲しいことを伝えると、いきなりの訪問者に多少びっくりしつつも好意的な反応。「ちょっと待ってね、Tシャツはどのサイズ? 」と訊かれて「私が着るのでSサイズがいいです」と。しばらく奥に引っ込んでから、何枚かのTシャツとステッカーを持ってきてくれました。「今ここにあるSサイズのTシャツはこれで全部だけど…」ということで、その中から1枚選んで値段を尋ねると「ちょっと待って。今サイトで値段調べてくる」と再び引っ込む。ちなみにTシャツも皺だらけで、ホントに「何処かから引っ張り出してきた感」がすごい。わりと適当。でも25ドル(多分)だけど、サイトの価格は送料を想定して少し高めに設定してるから、20ドル(多分)でいいよ! ステッカーも無料だから持って行って!」ととても親切。しかも、「せっかく日本から来てくれたんだから、他に何かお土産ないかなぁ…ちょっと待ってて!」とまたも引っ込み、「古いんだけど良かったら」と、過去のコンピレーション盤を3枚もくださいました。まじですか!!

そして、私がそうやって何度か待たされている場所には過去のOffBeatの表紙がいくつも額に納まって飾られておりなかなかの圧巻だったので、許可をいただき写真もたくさん撮ってしまいました。

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オフィス入り口

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シリルさまも発見!

 

お金を払ってジョゼフさんと少し話していると、「せっかくだからJanにも会って行きなよ〜。こっちおいで。」と中に案内していただくことに。まじですか!!(2度目)

 

緊張しつつ、遂にオフィス潜入です。

案内されたのはFrenchmenが見渡せる部屋で、窓際のPCデスクに悠々と座るJan Ramseyさん。泣く子も黙る編集長とまさかのご対面です。「うわ…ほ、本物や。。」と、口にこそ出さなかったけどそんな心境でした。さすがの女帝感。

ラムゼイさん、彼女のコラムは長年たくさん読ませていただいていますが、正直言うと「この人とはあまり考えが合わないなぁ」と思うことが結構あります。ニューオリンズの音楽や文化をものすごく愛してらっしゃるのは分かるんだけど、愛ゆえに保守的というか時に排他的になり過ぎているというか(この独特の保守性と排他性は彼女に限らずニューオリンズで時々感じるのですが)、「よそ者」の私としては読んでいてすごく悲しい気持ちになることもあるので、どんな態度を取られるのか、結構身構えていました。

いざお話してみると、時々コラムで見せる攻撃的もとい舌鋒鋭い感じと裏腹とまでは言わないまでも温厚で感じが良く、お仕事中にもかかわらず歓迎してくださいました。ただ、「どういうきっかけでニューオリンズの音楽に興味を持ったの?」という質問の時には眼鏡の奥の瞳がキリッ!!と鋭くなり、「さすがや…!」という感じでしたが。もっとも、私の回答(渋谷のタワレコをぶらぶらしてて、偶然試聴したJon ClearyとJohn Grosのアルバムがめちゃくちゃ良くて、そこからハマった)が意外だったようでとても面白がってくれて、結構話が弾みました。「渋谷のタワレコ」というのは今やタワレコなきアメリカでは伝説みたいな存在らしいですね。タワレコニューオリンズ音楽のコーナーがあったことはご存じなかったようで、とても興味深そうでした。

ちなみにジョゼフさんもずっと一緒にお話してたんですが、彼はラムゼイさんの旦那さんでした。先の私との会話からも想像つくかと思いますがものすごくいい方で、ラムゼイさんの伴侶はこのくらい菩薩じゃないと務まらんのやろうなぁと。

色々話していて意外というか「そんなもんなんや〜」と思ったのが、彼らと言えどニューオリンズの若手ミュージシャンにそこまで詳しいわけではないんだなということです。編集長夫妻の目に留まって名前を覚えてもらう、というのもある種の基準というか目標になるのかも、なんて思いました。

ジョゼフさんのご提案で一緒に写真撮影したあと(編集長とのツーショットはかなり貴重では)、「そういえばLMFに昔アジアのタワレコで働いてた人がいるから紹介するよ」と言われてオフィスをお暇し、階下のお店に行きました。件の店員さんはシンガポールを拠点に新規店舗開発の仕事をされていたそうで日本に来たことはなかったんですが、ここでも「渋谷のタワレコはすごいよねー。もうアメリカにはタワレコないからねぇ。」と。今はニューオリンズコーナーないし家も遠くなったしで行く機会もほとんどないし、何よりすっかりネット通販&配信、正直タワレコに昔感じていたような愛着もないのですが、LMFのように残って欲しいお店はあるので、できる範囲で好きなお店でお買い物していきたいなと思います。

で、ちょうどマクダーモットさんが来店中だったので紹介していただきました。うおお! なんかリアクション薄かったんだけど、後日ライブに行ったら私のこと覚えててくれたみたいです。魔法使いのような黒いロングコートが素敵でした。

ところで後で気づいたんだけど、この日はアメリカ祝日だったんですよね。編集長たち休日出勤してたのか…。

 

 

■ WWOZ

翌日、OffBeatでの成功体験(?)に気を良くして、WWOZも訪問してしまいました。

ここも前から場所は知ってたんだけど、ドア閉まっててフラっとは入りづらい。前日ほどじゃないまでも多少緊張しつつエレベーターに乗り、窓口で日本から来たんだけどステッカー売ってませんか?と訊いたら、親切にも「無料だから持ってって!」と在庫まで探して何種類か用意してくださいました。マルディグラ仕様のまで頂いちゃった。しかも、ここでも「せっかく日本から来てくれたんならお土産が要るわねぇ」と、またもコンピレーションCDをくださる。ニューオリンズの皆さん、なんていい人たちなんだ…。

 

ここでも窓口の女性と少しお話して、写真を撮ってもいいか訊ねると快諾してくれた上に、「どうせならここで撮ってあげるわ」と、入り口こWWOZロゴ看板の前で私の写真を撮ってくれました。「この奥で今まさにオンエア中よ」と中をちらっと見せてくれて(と言ってもスタジオは当然ドアが閉まってるので内部は全然見えなかったけど)、私がいつも日本で聴いてる番組は、ここから発信されているのねぇと感激でした。

OffBeatオフィスに比べると時間も短めであっさりした訪問ではありましたが、日常的によりお世話になっているのはやはりWWOZなので(平日の昼休みなどほぼ毎日アーカイブを聴いて過ごしている。なんならチャーリーさんに顔覚えてもらったのもWWOZのおかげだし)、ようやく「聖地巡礼」できて良かったです。これからもささやかながらサポートしていきたいです。

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このドアの向こうに放送用のブースがある
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看板! ここで写真撮ってもらいました

 

今回はサスペクツも含め、ステッカーのお土産が結果的にすごい量になって、重複分など数名の方におすそ分けもしたのですが、無料とはいえ印刷費もかかってるだろうにこんなに頂いちゃっていいのかなという感じでした。お礼にガンガン宣伝しなくちゃ!と思うんだけどもったいなくてどこにも貼れないまま大切に袋に入れてしまわれており、逆にもったいないので積極的に貼っていかないとですね。

 

そしてとても思ったのが、仕事場へアポなし訪問って飛び込み営業じゃあるまいし多少強引だったかもしれないけど、思い切って行ってみてよかったなと。特にラムゼイさんに対しては正直苦手意識があったのが大分解消され、その後コラムを読んで多少心がざわついても「いやでもあの時私のこと歓迎してくれたし、ニューオリンズ音楽への愛という点では同じ方を向いてるんだよね」と思えるようになりました。もちろんすべてに賛成できるわけじゃないけど、そこはまあ、にんげんだもの。そして私自身が楽しかったのは言うまでもなく、あちらの方々も日本からニューオリンズ音楽ファンが訪ねてきたというのは驚きながらも少なからず嬉しかったみたいです。私より愛好歴が長い方やもっと何度も行ってる方を何人も知っているのでそれほど珍客ではないと思うんですが、案外現地のミュージックビジネスに関わる方たちが日本人ファンを直接目にすることって少ないのかもしれません。彼らが今後お仕事される上で、少しでも私のことを思い出してくださって、日本というマーケットに今まで以上に目を向けてくださったら、こんな嬉しいことはありません(要するにミュージシャンいっぱい来日してね! なんなら将来的に日本語コンテンツとは言わないまでも日本を意識した企画とか検討してくれるとめっちゃ嬉しい! 具体的なアイディアはないけど!)