Galactic Purchases Tipitina's

少し前から噂はあったのですが、ニューオリンズのアップタウンにある老舗ライブハウス、ティピティーナス(Tipitina's)を、地元のファンクバンド、ギャラクティック(Galactic)が買収したようです。

Galacticの公式サイトのステートメント

そして公式Twitter

これで通じちゃうとこがいいですね。

 

前オーナーのRoland Von Kurnatowskiは借金不払いなどで訴えられたりしていたようで、Tipitina'sの買収オファーは他からもあったらしいのですが、結局Galacticが買うことになったようです。

Tipitina'sはアイコンになっているProfessor Longhairはじめ、ニューオリンズのさまざまなミュージシャンが出演してきたニューオリンズを代表するライブハウス。NCIS:ニューオリンズのロケ地にも使われており、セバスチャンはここのお店のTシャツを最低2着は持っています。もちろん私も持ってます(ていうか、ニューオリンズ音楽好きで現地に行ったことある人はかなりの確率で持ってるかと。来日公演でもTipitina'sのTシャツ着てきてるお客さんは頻繁に見かけます)。個人的には、今はなきフレンチクオーターの別館的な会場で至近距離でシリルさま(&Tribe 13)のライブを観たなんて思い出もあります。

 

内部事情などは良く知りませんが、いろいろ見ていると地元のミュージシャンや音楽関係の方々は今回のニュースをかなり歓迎・期待しているようです。ギャラの不払いでもあったんですかね…(あくまで推測ですが)。そしてGalacticの公式サイトにも「Tipitina'sという会場とブランドを通じて、ニューオリンズの音楽や文化、遺産を守り発展させることを目的としている」という頼もしいお言葉が。Galacticといえば今やニューオリンズの枠を超えてジャムバンド界では世界的に有名ですし、彼らがうまくプロモーションや運営をしてくれればニューオリンズの音楽にとっても悪い話じゃないと思います。

 

Galacticというかスタントン先生はまあそこそこ聴くし来日すればなるべく行くって感じですけど(シリルさま連れてきてくださったこともあるし)、正直言うとスタントン先生ってわりと最近まで「悪い人じゃないけどなんか苦手だなぁ」という感じでした。だって、なんかめっちゃドヤ顔でニューオリンズドラムとか語るじゃないですか。あの前のめり感が微妙というか。あとなんか色々追求し過ぎてパンデイロ使って謎なアルバム出したりとか血迷ってんなぁみたいな時期もあったりで、要するに「ちょっとめんどくさそうな人」的立ち位置でした。じゃあ今はどうなのよ?って話ですが、まあ「ちょっとめんどくさそうな人」なのに変わりはないんですが(すみません)、そこが愛すべきキャラと受け止めてます。心境の変化のキッカケはドラマーさんばかりひたすらインタビューするPodcastがあって、そのアーカイブで彼のインタビューを2本、計2時間以上がっつり聴いたことなんですが、いやこの人ホントにニューオリンズ音楽を愛しててドラムを愛してて、演奏も練習も伝道も指導も大好きで、動いてないと死んじゃうタイプの人なんだなぁとしみじみ実感したのです。別にインタビューや動画でドヤ顔で語ってるだけじゃなくて、同じテンションで自分が主宰するドラムアカデミーの生徒さんたちの質問などにも熱心かつ丁寧に答えているみたいだし、あと、夜にライブの仕事があってどんなに深夜に帰宅しても娘さんのお弁当を用意して学校に送りに行くというエピソードにも萌えました(たぶん昔”Listen to Zigaboo”みたいなTシャツ着てジャズフェスのステージに上げられてたお嬢さんですよね)。なんか何事にも常に全力というか、断片的なインタビューやエピソードでは見えてこなかった人間的な可愛さを色々と感じたのです。こういう人ならTipitina’sのオーナーの1人として良い仕事をしてくださるんじゃないかな。地元ミュージシャンの好意的な反応も、その安心感を後押ししてくれています。

 

もちろん、不安もないわけじゃないです。Galacticがバンドとしていくら成功していてもライブハウスの経営もうまく行くかは未知数(むしろ良くも悪くもミュージシャン寄りの経営で、採算度外視になってしまうんじゃという恐れも)。まあ経営はある程度プロに任せるんだろうとは思いますが、インタビューを聞いた感じスタントン先生の性格上任せっきりにするとは思えず、どっちかというと結構全力で関わっちゃいそうで、ただでさえめちゃくちゃ忙しいのに大丈夫なのか過労で倒れたりしないかという心配もあり。どうやら最近再婚もされたらしいので、ご家族との時間も大切にして欲しいなぁとか勝手に思ってみたり。まあそこは私が心配することじゃないんですが。

 

でも何にせよ地元のミュージシャンたちが歓迎しているので悪い流れじゃないのかなとは思います。個人的にはニューオリンズには珍しく時間通りに開演するし(その代わり終わるとサッサと追い出されるけど)、入店システムも良くも悪くもきっちりしてて特に悪い印象はなかったんですけどね。とはいえ今後のTipitina’s、どうなっていくのか楽しみです。機会があればニューオリンズ行ったら地元の人たちに色々話聞いてみたいな。