Jazzfest 2018, May 6 #3

長いようであっという間だったジャズフェスも最後の1つを残すのみ。
Trombone Shorty and Orleans Avenue @ Acura、みんな大好きショーティくんです。
もっとも楽しみにしていたライブの1つだけど、これが終わるとジャズフェスも終わってしまう…(涙)。
いやね、正直暑いし人多いし忙しいし疲れるし、いい年かつ基本インドアな私にとってはかなり過酷なんですよジャズフェスって。
実際、汗ダラダラの立ちっぱなしで開演待ってる時とか、「私はいったい何をしてるんだ…何かの修行か?」と自問自答してしまうこともあります。でもひとたび音楽が始まると楽しくて疲れは吹っ飛んじゃうし、終わりが近づいてくるとものすごく寂しくなる。マゾなんですかね。Music saves my life的な胡散臭いポエムは嫌いだけど、ジャズフェス期間中はある意味音楽に生かされている感じになります。まあ、ドーピングで生き永らえさせられる、という意味ですが。

 

で、ショーティくん。
ニューオリンズでは泣く子も黙るスーパースターだけど、正直ジャズフェスに来ている人たちの間での知名度がいかほどなのかは不明です。それでも少し早めに行くと、前日のエアロスミスほどではないけど結構な人。ほぼ定刻どおり始まりました。
8年前にGentilly Stageで観た時も既に大物の風格を身につけつつあったけど、あどけなさも抜けて今や立派な青年。ますますスターのオーラを身につけたショーティくん、最高にカッコ良かったです。お客さんを盛り上げていくあの才能も相変わらずいかんなく発揮、初めて観た人もきっと十分楽しめたんじゃないかな。バンドももともと上手かったけど、前回来日公演で観た時より更によくなってた気がする。今回楽器チェンジはなかったけど、ショーティくんが終盤ちょっとだけパーカッションやってくれて嬉しかったです。

そうそう、私のすぐ近くでは5歳くらいの黒人の男の子がトロンボーン抱えて肩車されていて、ショーティくんのソロに合わせて吹く真似してました(ホントに吹いてたのかな? 音は聞こえなかったけど)。彼はショーティくんに憧れる地元の子なのかもしれません。こういう子たちがいつか第二のショーティみたいになって、ニューオリンズの音楽がこれからもずっと受け継がれていくといいなぁと思いました。

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どこまでもイケメン。

 

…で、もう彼らだけでもフィナーレにふさわしく十分に満足だったんですが。
途中でとんでもない事態が発生。
まずショーティくん、MCでチャールズ兄さんについて言及する。そして「自分が12〜13歳の頃、ジャズフェス最終日のこのステージ(Acura)はずっとNeville Brothersだった」と。まあ、もうちょっと大きくなってからもネヴィルだったよ!というツッコミはあれど、ここまでは普通に嬉しい発言として、まだ冷静に聞いていられる。
続けて、だからこの場に是非彼らを呼びたい…と言って、なんとなんとなんと、イアンくん、アイヴァン(敬称略)、そしてシリルさまをステージに!!  きゃー!!!
もうね、8年前の「アートが立った!」に匹敵する衝撃ですよ(※2010年ジャズフェスのNeville Brothers公演中、杖ついても足元が覚束ないはずのアーティ兄さんが、Big Chief演奏中に突然自力で立ち上がった事件)。

しかもシリルさま、タイダイシャツの上にタイダイジャケットという、柄on柄の極みのような格好で、満を持してのご登場。この服装が許されるのはシリルさまくらいでしょう。ていうか、このやる気満々な服装でチャールズ兄さんへの思いは語らずとも明らかです。
シリルさまとチャールズ兄さん、きっと不仲なんかじゃなかったんだね。ご自分のステージで何の言及もなかったのは、あえて黙ってやり切るというシリルさまなりの思いがあられたのかもしれない(あくまで勝手な妄想)。
ちなみに後でわかったことですが、シリルさまはニューイングランド在住のチャールズ兄さんの息子さんたち(やはりミュージシャン)とも交流がおありなようで、私の心配は完全な杞憂だったと思われます(しかしこれでシリルさまとアーロンさま不仲説が一層濃厚になってしまった。ていうかそういうの考えるのやめなさい。我ながら罪深くてイヤになる)。

ステージに現れて、真ん中でショーティくんとがっしりハグするシリルさま。イアンくんとアイヴァン(敬称略)は淡々とわりと通常運転でした(笑)。

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力強く抱き合うショーティくんと、柄on柄のシリルさま。号泣。


そしてネヴィル3名を迎えて披露されたのはNo More Okie DokeとFiyo on the Bayou! 満面の笑顔でカウベルを叩くチャールズ兄さんが目に浮かぶ…。ジャズフェスのお客さんは別にニューオリンズ音楽ファンばかりではないので、このステージの意味やありがたみがどのくらいの人に伝わったのかはわからないけど、それを抜きにしてもパフォーマンスとして最高だったと思うし、何より本当に「ああ、ニューオリンズ来てよかった…」と心の底から思いました。まさか今になって、ジャズフェス最終日のAcuraでネヴィル観れると思わなかったよ。ショーティくん、本当にありがとう。

しかしこのことも含め、ショーティくんの先人への敬意は素晴らしいですね。この晴れ舞台で持ち歌の中からHere Come the GirlsやAin’t No Useを選んだのもきっと意識してのことでしょうし。
更にはバンドメンバー全員、サポートのコーラスの子にいたるまで全員にソロの見せ場を用意していた。なんてええ子なんや…。そして溢れるニューオリンズやトレメへの地元愛。心の汚れたおばちゃんは心配になるレベルでいい子です。

彼はきっと、この先当分ジャズフェスのトリを守ってくれるはず。今年のフェスが終わっちゃったのは本当に寂しいけど、また安心していつでも戻ってこれるだろうという、とても晴れやかな気持ちで会場を後にすることができました。ショーティくん最高だよ!

 

来年のジャズフェスは50周年のアニバーサリーイヤーなので心惹かれるのですが、多分次のニューオリンズ訪問(気が早い)はジャズフェス時期は避けるでしょう。最初にも書いたけどやはり結構過酷だし、何よりもう少し静かな時期にライブハウス回りつつ、ゆっくり街そのものを楽しみたい気持ちもあるので。
でもやっぱり、労力や忙しさと引き換えに得られる楽しみがたくさんあることは間違いないので、体力の許す限りまた戻ってきたいと思っています。

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Happy Jazzfest!