NCIS: ニューオーリンズ (S5E6)

臓器の行方 / Pound Of Flesh

プライドの部下ジニーが何者かに連れ去られ、監禁される。何とか逃げ出したが、容疑者は惨殺死体で見つかる。検視をすると彼の臓器が摘出されていたことが分かり、その技術の高さから医療従事者が疑われる。ジニーや惨殺された男の体内にあった毒物をたどるとキューバ移民の元医師イグナシオという男が浮上する。(スーパー!ドラマTVサイトより引用)

 

S5E4で夜学に通って犯罪学の勉強をしてると言っていたジニー、今回は事件に巻き込まれ、少しずつキャラが浮き彫りになってきたので今後準レギュラーくらいにはなるのでしょうか。ちょっと暴走癖がありそうだけど嫌いじゃないです。

 

そんなジニーが拉致される直前、友人と飲みに行っていたというお店はBywater地区にあるBacchanal。ワインが美味しいらしく、Bywaterには2回ほど泊まったことがあるんですが、毎回「近所のおすすめ店」と紹介されました。夜はいつもライブに行っちゃうので結局一度も行ったことはないんだけど、昼間から飲むという選択肢もありですね。このお店も夜にライブをやっており、Jesse MorrowやWillie Greenなど、結構有名な人たちも出演してるみたい。

なお、ジニーはケタミンを盛られて気分が悪くなり歩いて外に出ちゃったみたいですが…これは「ダメ!絶対」です。ここから運河を渡って東側エリア(ジニーが監禁されていた家のあるあたり)はあまり治安が良くないと言われているし、Bywater地区自体、場所によってはちょっと怖そうな雰囲気の所もあるのでいずれにせよ深夜にフラフラ出歩くのは非常に危険です(というか、そもそも治安が比較的良いエリアでも辞めた方がいいと思います)。地元民なら多分常識だと思うので、薬で正常な判断ができなかったのでしょうね。

 

そして見つかった場所はNew Orleans East。このエリアは確かにKatrinaの被害も大きく、もともと治安が悪かったので放置されている場所もあるそうですが(S4E3に出てきた廃墟の遊園地もこのエリアにあります)、この赤い点が実際の空き家を反映しているのかは不明です。ちょっと違うんじゃないかな~という印象ですが(特に右上のエリア。Lakefront空港も近いしそんなにすさんだイメージがない…)。

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ちなみにBacchanalの位置もプロットするとこんな感じですが、ジーナは薬を盛られながらも運河まで渡っちゃって結構歩いたなという印象です。

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最初犯人だと思われたライテルの車があったのは番組内の地図で示された通りの場所でした

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番組では 1300 St. Maurice Stでしたが、実際には1300 St. Maurice Avenue、この辺はLower 9th WardというKatrinaの被害が最も大きかった地域のひとつで前述のNew Orleans Eastからは少し離れています(なのでちょっとリアリティに欠ける)。

そしてジーナが監禁されていたという家、キングのセリフでは"southeast corner of Mitchum and Grant"とのことでしたが、ニューオリンズにMitchumという名の通りは存在しないようでした。

 

…と何をクドクド書いてるかというと、まあ単に特定が趣味ってのもあるんですが、S3で何度も登場したクリアウォーター地区といい、普段わりとリアルな設定が多いこのドラマですがKatrinaの被害が大きくいまだ復興が進んでいない地域に関しては具体的な場所や地名などに虚構を交えてあえて曖昧にしている気がするのです。そういった地域はもともと低所得者が多く住んでいてあまり治安が良くなかったこともあり、そうしたイメージを植え付けないようにするためかな、とも思うのですがどうなんでしょうね。

 

で、件の家からはサンテリアのシンボル落書きとともに内臓を取り出されたライテルの遺体が発見されましたが、「だからハロウィン嫌いなのよ」というグレゴリオの言葉でようやくハロウィンエピだと気がつきました。前シーズンでも散々怖がってましたもんね。可愛い…。

ちなみにサンテリアとはヴードゥーと同じく西アフリカを起源とし、前者はキューバやメキシコ、後者はハイチの土着信仰と融合して生まれたものです。ヴードゥーニューオリンズでも広まっており、S2E1のエンディングにチラッと登場したDr. Johnは、その名をヴードゥーの司祭から取っています。ある種観光資源というか、フレンチクオーターには博物館(New Orleans Historic Voodoo Museum)やお守りなどを売る土産物屋的なお店はあるけど、この話に出てきたようなプラクティショナーがやっている本格的(?)なお店って今も実在するのかな。ちなみに落書きのアドバイスを求めてキングが訪ねたザイアのカフェ、ロレッタの台詞によるとTruToneの隣らしいですが、バーのロケ地の隣にカフェらしきお店はないので、別の場所で撮影されたと思われます。結局落書きには特に意味はなかったものの、ザイアは祖母譲りの第六感でキングの不調を見抜き、独自のブレンドのお茶を飲むよう渡してました。

 

さて、ロレッタの検視によると犯人は医学の素養があるらしく、またライテルの体内からアメリカでは希少なカラバル豆の有毒成分が検出されます。豆の取引を追跡すると、閉鎖されたはずの衛生研究所(New Orleans Institute of Health)からマルケスというキューバ人医師が購入したことが判明し、チームは研究所跡を訪ねました。

研究所ロケ地はここ、Katrinaで閉鎖されたCharity Hospitalの跡地です。

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現在病院機能は別の場所に移転して州立大の附属病院の1つとして営業してるようですが、建物は今も手付かずで残っているみたいです。怖がるグレゴリオに「手繋ごうか?」と訊いちゃうセバスチャン、2人とも可愛すぎですね。最高。

突入すると男性を手術中のマルケスを発見、逃げられてしまいますが男性は一命を取り止めました。被害者男性はCovington(ニューオリンズから見てポンチャートレイン湖の向こう側、車で1時間弱)在住の会計士で、住所はいつものように通りは実在・番地は架空でした。被害者は全員血液型が同じで肝生検の跡があったことから、マルケスが特定の人のために臓器を探していたのではと思われます。

その後キングがジニーをお見舞いに行くとジニーが倒れており、キングも麻酔で眠らされ、ジニーは再び拉致されてしまいました。犯人は臓器提供を急いでいると思われ、ドナー待機者のリストを洗い出したところ、マルケスが仕事で出入りしていたケイン移植センター(Cane Transplant Center、実在はしなさそう)の研修医スーザンということが判明。恋人で同じく研修医のブレントがマルケスを利用して臓器を調達、外科部長を脅して手術をさせる、という犯行でした。外科部長が最初操作に非協力的だったのは脅されてたからなんですね。

手術室に乗り込むキングたち。結局ジニーから肝臓が摘出される前にスーザンが心停止を起こし、事件は収束します。ジニーはその後の手術も耐え抜き無事生還しました。よかったよかった。

なお、キングはジニーの危機にハトの幻覚を見たりとかなり危険な状況でしたが(普通に考えて現場に出ていい状況じゃなかろう…)、ザイアの処方したお茶が効いたのか、ようやく熟睡できたようです。といってもお茶はごく一般的なハーブティーだったのですが。説明できないものも時には受け入れることが必要、というメッセージだったようですが、この手の話、アメリカドラマ結構好きですよね。

 

で、今回はハロウィンエピと言いながらあんまりハロウィンぽくなかったなぁと思っていたら、最後の最後にセバスチャンとグレゴリオの猫仮装が全部持って行っちゃいました。この2人なんなの…可愛すぎる。

全然関係ないけど、ハロウィンが近づいてくるとTwitterでは「アメリカではハロウィンは子供のための行事! 大人は仮装(なんて幼稚なこと)しない! だから渋谷の若者けしからん!」的な、意識高い在米アカウントらしきツイートをよく見かけるようになります。おそらくそれは彼らの周りの「アメリカ」の常識なのかもしれませんが、ニューオリンズではいい大人もこんな感じで仮装して全力ではしゃいでいるので、「アメリカ」も色々です。広いですからね…。まあ私も渋谷の狂乱ぷりはいかがなものかとは思ってますが、それを批判する時に「アメリカ」という大きな主語を引き合いに出すのはちょっと賛成しかねています。